本年度の研究においては、以下の作業がおこなわれた。 1.各種出版資料と現地からの郵便による予備資料の収集が行なわれ、一国レベルでの経済政策と各種農業政策の変化について再分析が実施された。 2.東欧と中央アジアにおける現地調査では、経済改革の進捗状況と各種経済政策が農業生産・流通組織体に及ぼしている影響について、データの収集および聞き取り調査が実施された。各国においては、農業省、統計局、大蔵省、関連大学・研究機関等における聞き取り調査以外にも、旧国営農場や協同農場、流通組織において聞き取り調査が実施された。また、中央アジアのウズベキスタンにおける農業生産・流通組織に対するヒアリングにおいては、昨年度に作成した質問状を使い、個別ミクロデータの収集がおこなわれた。さらに、現地調査に際しては、この移行期経済に関する先進的な研究をしている米国のミネソタ大学、コーネル大学、農務省経済研究所等において、ミクロデータ分析結果の中間報告とデータや研究手法に関する情報収集と意見交換が実施された。 3.また東欧と中央アジアの研究協力者を、日本に招聘して、現地調査で収集したミクロデータの分析と考察を共同で実施した。農業組織の経営における収益性の差は、経営者の教育レベル、性別、地域の違いに依存することが、ハンガリーの事例から分かった。 4.また、分析結果の一部は論文としてまとめ、日本農業経済学会、国際農業経営学会、欧州農業経済学会の大会で報告した。
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