本研究調査は、ドイツのCarl Zeiss社の企業としてのあり方、およびその研究開発のあり方について、その歴史的起源、発展に立ち戻り、同社所蔵の企業アルヒーフ資料を駆使して考察することを意図しておこなわれたものである。 初年度における現地での調査研究をもとに解析し、整理を加えてきた内容は、以下の通りである。 (1)UACZ(Unternehmensarchiv der Carl Zeiss)所蔵の手稿・図面・型録等を含む未公刊資料、とくに1845年から1905年までの光学機器関連の資料カタログとその実態についての概観。 (2)とくに本研究の中心的課題とでもいうべき、紫外線顕微鏡・限外顕微鏡の開発の展開過程に関する資料類の所在の確定と概要。 (3)Oberkochen およびJenaのミュージアム所蔵の本研究が対象とする顕微鏡や望遠鏡、カメラなどの創立時から今日にいたる関連光学機器の子細とその保存状況について。 (4)Carl Zeiss社の経営陣から聴取した企業組織・業績等の概要について。 (5)Oberkochenの Carl Zeiss本社の医療用精密光学機器の生産ラインの実体について。 (6)Jena のCarl Zeiss社の研究開発陣から聴取した紫外線顕微鏡・限外顕微鏡などの精密光学機器のメカニズムとその開発の実際について。 (7)国立公文書館に所蔵されている国立物理工学研究所、教育科学省等にかかわる本研究関係資料の所在の実状について。 今後、Carl Zeiss社のありよう、研究開発のありよう、ことに紫外線顕微鏡・限外顕微鏡等の光学機器がいかに開発され、製品化されていったのかについて、これらの成果を参検し、その特殊性を考慮した理論的一般化を図っていく。
|