研究課題
国際学術研究
平成10年度は、イギリス、アメリカ合衆国、カナダの3カ国の合計11機関を対象として、各機関の遠隔教育による大学院プログラムにおいてメディアの利用実態に関する調査を行った。イギリスではプリティッシュ・テレコム、マンチェスター大学、グラスゴー大学、ワーリック大学、オープン・ユニバーシティを、アメリカではノース・イースタン大学、スタンフォード大学、カリフォルニア州立台がウドミンゲヒルズ校を、カナダではアサバスカ大学、サイモンフレーザー大学、テクニカル・ユニバーシティ・オブ・ブリティッシュコロンビアを訪問した。地域だけでなく、大学院の課程内容もバラエティにとんだ訪問先であるが、それらにおおむね共通している特徴を以下4点にまとめる。1.メディアの利用に関しては、すでにオンラインを中心として教育プログラムが編成されていることを特徴としている。従来の印刷教材に加えて、CD-ROMやWWW、さらにはオンライン用のソフトウエアの利用も一般化している。2.これらオンラインの利用により、文字を介しての非同時性の双方向コミュニケーションが可能となるため、対面授業を全くなしにプログラムが編成されているケースがある。3.大学の大半が、修士号の取得により職業上の地位の向上を目的とする成人であるため、こうしたプログラム編成は、職業生活と学業との両立を容易にし、かつ、メディアの特性をいかした学生間のグループ・ワークを組み入れることで教育効果を高めることが期待されている。4.これらを支えているのが、教育と学生との間をつなぐテクニカル・サポート、チューターあるいはカドバイザー制度などであり、こうしたシステムが大学内に組織化されていることが、メディアを利用した教育を活性化させているのである。