研究概要 |
本研究費にもとづき,今年度は以下の観測キャンペーンをおこなった. 98年8月-9月:サンクリストバル島におけるオゾン・水蒸気観測 99年2月-3月:サンクリストバル島におけるオゾン・水蒸気観測 99年2月-3月:クリスマス島におけるオゾン観測 このほかに,別の研究費で以下の観測キャンペーンもおこなっている. 98年3月-4月:サンクリストバル島におけるオゾン・水蒸気観測 それぞれキャンペーン期間は2週間程度で,毎日のGPSゾンデによる温度・風の観測に加え,オゾン観測を2日に1回、水蒸気観測を4日に1回程度おこなった.99年2月-3月観測キャンペーンのデータは現在処理中であるが,98年3月-4月,8月-9月観測キャンペーンのデータ,および補助的な他の気象データから以下のような知見が得られている. 1. サンクリストバルと西太平洋のシンガポールにおけるゾンデデータを比較したところ,対流圏界面が北半球の冬に低圧・高高度・低温になるという特徴が両観測点で見られたが,海面水温と対応していると考えられていた圏界面高度の差は明瞭ではなかった. 2. サンクリストバルにおける対流圏オゾン分布は,3-4月には対流圏内でほぼ一定値(〜30ppb)をとるのに対して,9月には地表付近(20ppb)から6-7km付近まで増加(50ppv)したあと上部対流圏まではほぼ一定の値をとるという特徴が見られた.これは赤道波と関連した成層圏からのオゾンの洩れ出しが,特に9月には顕著に見られるためではないかと考えられる. 3.9月のサンクリストバルにおける温度,仮温位のプロファイルから大気境界層とその上の温度逆転層が明瞭に観測され,これと対応してオゾンの分布も境界層を抜けたあたりでいったん減少し,そのあと増加しているという特徴が見られた.解釈には今後の研究が待たれるものの,境界層内でのオゾンの光化学収支を収支を考える上で重要な示唆を与える観測結果を得た.
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