研究課題/領域番号 |
10041108
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研究種目 |
国際学術研究
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応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
野津 憲治 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (80101103)
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研究分担者 |
MITROPOULOS P. アテネ大学, 理学部, 助教授
森 俊哉 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (40272463)
五十嵐 丈二 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (00202854)
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キーワード | ラドン / 地下水 / 地震予知 / 活断層 / ギリシャ |
研究概要 |
ギリシャでは、電磁気学的方法(いわゆるVAN法)により地震の前兆現象をとらえているといわれており、日本でも兵庫県南部地震以降、VAN法の適用に関して実験的な観測研究が始まっている。VAN法は地電位差測定にもとづいているが、地電位差は地下水の動きに敏感である。したがって、地下水中のラドン濃度や水位、微小水温変化の測定を行なうことは、VAN法を評価し、地震先行現象を理解する上で不可欠である。とりわけ、ギリシャは人工的なノイズが少ないなど、先行現象が見つかりやすい環境であることが指摘されており、地下水の地球化学的観測研究を行なうことにより、電磁気学的方法と対比した変化を検知し、地震前兆の発現機構を明らかにすることができると期待される。 平成10年度は、1893年5月23日にM6.3、1894年4月27日にM7.2の地震が起きて大被害を与えた中部ギリシャのAtalanti断層系に沿って観測に使える井戸を探した。いくつか井戸を見て調べたところ、Atalanti市に飲料水を供給している2号井(深さ111m、ストレーナ深度66-105m)がラドン測定装置を設置するのに適していた。配管の途中に気体交換モジュールを入れ、分離したガスをルーカスセルタイプのラドン測定装置に導入しラドン濃度を連続測定できるようにシステムを作った。ギリシャ滞在中に試運転を繰り返し、正常に連続測定が行なわれていることを確認して日本側研究者は帰国した。その後の長期的な連続観測のための観測計器の維持管理はギリシャ側分担者が行なっているが、観測井近傍で11月16日、12月16日、12月21日にM2.8〜3.2の小さな地震が起き、それらに関連したラドン濃度変化がみられ、詳細を検討している。 この他、ギリシャの火山島であるニシロス島の周辺では、地震活動も盛んであるので、噴気地帯に噴気温度連続測定装置を設置し、観測を開始した。
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