研究課題/領域番号 |
10041113
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研究種目 |
国際学術研究
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応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
磯崎 行雄 東京大学, 総合文化研究科, 助教授 (90144914)
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研究分担者 |
八尾 昭 大阪市立大学, 理学部, 教授 (40047353)
高野 雅夫 名古屋大学, 理学部, 助教授 (90262849)
酒井 治孝 九州大学, 比較社会文化研究科, 教授 (90183045)
西 弘嗣 九州大学, 比較社会文化研究科, 助教授 (20192685)
川幡 穂高 地質調査所, 海洋地質部, 研究員
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キーワード | 大量絶滅 / 古生代 / 中生代境界 / 揚子地塊 / 超酸素欠乏事件 / 学術ボーリング / スーパープルーム / 超大陸 / プルームの冬 |
研究概要 |
史上最大規模の生物大量絶滅がおきた古生代/中生代(P/T)境界事件の原因を解明するために、世界で最も連続的な地層記録が保存されている中国南部、揚子地塊の研究をおこなった。まず平成10年7月に北京市で中国科学院の地質学者と調査計画について予備折衝を行い、同年12月から翌1月にかけて3週間、中国南部の浙江省および四川省において野外地質調査を行った。特に大量絶滅およびその当時の地球表層環境の変化がよく記録された地層が露出する5地域のセクション(浙江省・メイシャン、四川省・シャンスー、チャオティエン、ファンイン、リャンフェンヤ)について詳しく調査し、総量で約500kgの岩石試料を採取した。その結果、P/T境界周辺および最末期ペルム紀(古生代)の地層中に、相当数の火山灰層が挟まれていることを確認した。詳細は今後の化学分析結果を待たねばならないが、この事実は、P/T境界頃に異常に大規模な火山活動がおきたこと、さらにそれがマントル内で活動するスーパープルームに起源をもち、結果として生物の大量絶滅や超酸素欠乏事件といったグローバル環境変化を引きおこしたことを示唆する。したがって研究代表者が提案している「プルームの冬」仮説を積極的に支持する証拠とみなされる。本年度の調査の結果、四川省のセクションが予定している学術ポーリングの場所として最適であることが判明した。したがって来年度はその地点で地下から最も新鮮な岩石試料を完全に連続的に採取し、持ち帰ったポーリング試料の年代および化学組成を様々な手法を用いて分析し、上記の仮説の妥当性を証明してゆく予定である。
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