研究概要 |
ヤールンツァンポー縫合帯周辺の地質調査をとおして,珪質堆積物を系統的に観察し,その分布,岩相,産状,微化石年代をもとに以下の4つのグループに区分した. 1. オフィオライト帯中にあり,緑色岩類と密接に伴って分布する赤色チャート このグループに入るチャートは,現在のところChongdui東方で確認したのみである.そこでは,玄武岩質の火山岩および火山砕屑岩類を密接にともなって産出する.チャートからは白亜紀の放散虫を得た. 2. オフィオライト帯中にあり,泥岩を基質とするメランジュに含まれる非赤色チャートJinlu地域に分布するチャートで代表される.非赤色のチャートからなり,層厚数10mの層状体として泥質岩中に含まれる.チャートにはしばしば層内褶曲が認められる.チャートからトリアス紀の放散虫およびコノドントを得た. 3. オフィオライト帯の南縁部周辺に発達する赤色ないし緑色のチャートおよび珪質泥岩 今回の調査を行ったセクションのうち,(1)Bainang,(2)Xialu-W,(3)Xialu-E,(4)Gangqiangba,(5)Rimelaiセクションがこのグループに含まれる.数100m以上の層厚をもつ赤色ないし緑色のチャートおよび珪質泥岩を主体とする.ジュラ紀古世から白亜紀古世にかけての放散虫を得た. 4. オフィオライト帯より南に分布するメランジュ中のブロックとして産出するチャート今回調査した範囲では,Qushu地域およびBeicha地域おいて観察された.Qushu地域のメランジュは,外来岩塊とみなされる巨大なベルム紀石灰岩とトリアス紀砕屑岩類に構造的に挟まれて分布する.チャートは赤色を呈し,このメランジュ中の岩塊として産出する.微化石については検討中である.
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