研究課題
国際学術研究
平成10年度は、チベットのラサ市を中心に対流圏から成層圏にいたる大気化学観測を中国科学院大気物理研究所、チベット気象局、および中国気象科学研究院大気科学研究所と共同で行なった。ライダー観測装置をはじめ大型の観測器材を清寧からラサ市まで陸路輸送するとともに振動に弱いものを航空機で運び込んだ。平成10年の5月から観測基地の建設を開始し、6月から予備的な観測に入った。8月及び10月にはオゾンゾンデの放球も実施された。10月下旬には1998年の日本及び中国側の観測を終了した。地表面付近の観測は、チベット気象局の構内および近くにある農業気象試験場の構内においておこなわれた。チベット特有の日変化や強い太陽放射の影響を受けたと考えられる現象がエアロゾル粒子の数分布やエアロゾルの化学組成に見られた。ライダーおよびオゾンゾンデの観測では「チベット高原の強い上昇流が関与していると考えられる圏界面付近でのエアロゾル濃度の増加」あるいは「グローバルな大気運動とリンクした可能性の高い独特の化学過程の成層圏高度における発生」などを示唆する結果が得られた。詳細な解析は次年度も継続して行なう。平成11年度も引き続き観測を継続するとともに、周辺地域での観測網の展開の可能性を探る予定である。
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