研究課題
基盤研究(A)
本研究は、対流活動が極めて活発でしかも大陸内部に存在してアジア・太平洋域の気候や大気環境に大きな影響を持っているチベット高原大気の大気化学的な、とりわけエアロゾルが大気化学過程に及ぼす影響に注目して、観測をチベットで行なったものである。平成10年度及び11年度にわたってチベット自治区の気象局のキャンパスを中心に、以下の観測を行なった。・オゾンゾンデによる対流圏成層圏オゾン濃度の観測、・ライダーによる対流圏成層圏のエアロゾル濃度及び粒子形状の観測、・エアロゾルゾンデによる対流圏成層圏のエアロゾルの濃度及びサイズの観測、・電子顕微鏡及び顕微赤外分光分光器による対流圏エアロゾルの形状、表面構造、元素組成、表面物質の化学組成の観察。これらの観測を通して、この地域の上空のオゾン濃度分布の変動状態やエアロゾル粒子の分布状態とその性状が初めて明らかにされた。なかでも、対流圏界面に著しく発達したエアロゾル層が観察され、この層を形成した上昇流が成層圏かが区か邸に及ぼす影響は極めて興味あるものと考えられる。この結果の中間的なものは、1999年に開催された第1回アジアエアロゾル会議に報告された。引き続き、気象情報やその他の情報を収集して解析を続けている。今後、対流圏圏界面近傍のエアロゾル粒子の果たしている地球環境化学的な側面の解明に有用な情報を提供したものと考えられる。
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