• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1999 年度 実績報告書

二畳紀・三畳紀境界の古環境の高密度復元と大量生物絶滅の原因

研究課題

研究課題/領域番号 10041124
研究機関姫路工業大学

研究代表者

森永 速男  姫路工業大学, 理学部, 助教授 (40210182)

研究分担者 山本 鋼志  名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70183689)
井口 博夫  姫路工業大学, 環境人間学部, 教授 (40112073)
キーワード二畳紀・三畳紀境界 / 生物絶滅 / 岩石磁気・古地磁気 / 希土類元素 / 初期帯磁率 / 磁気層序 / 古環境 / 海退
研究概要

平成10年および11年度に中国にて採取した、大量の生物絶滅で特徴づけられる二畳紀・三畳紀(P/T)境界付近の岩石試料のうち、最も岩石学的に新鮮であった浙江省長興県煤山の石灰岩試料で行った岩石磁気・古地磁気学的および地球化学的分析より以下のことが明らかになった。
(1) P/Tの生物境界を含む約3mの露頭範囲(現地の22層から30層の範囲、約15万年間と推定される)はすべて正極性と判定され、極性反転を含まない、すなわち生物境界と地磁気反転の関連は認められないという結果となった。
(2) 岩石磁気学的な検討(初期帯磁率や残留磁化強度変化)により、二畳紀後期に安定であった帯磁率および残留磁化強度が生物境界より少し下位(早い時期)に急激に変化(増加)しはじめることがわかった。おそらく、これは長興地域での堆積環境の変化(周辺からの砕屑物の供給増加)が始まった時期を示している。この環境変化はグローバルな生物絶滅に関連した証拠の可能性がある。
(3) 炭酸塩中の希土類元素の変化は、かつての海の環境を反映している可能性がある。ICP分析の結果、炭酸塩フラクション(酢酸可溶成分)の希土類元素組成は炭酸塩以外のフラクションのそれとよく似ており、両者間での分配があった可能性を示した。このため、希土類元素組成の層位間変化を用いたP/T境界頃の古環境変化は復元できなかった。
以上のように、本研究の顕著な結論は、大量の生物絶滅で特徴づけられるP/T境界頃に、長興地域の海底は徐々に陸に近づいていった(海水面が陸から交代していった-海退)という点である。これがグローバルな現象であったのか、それとも局地的な現象であったのかを確かめるために、今後のさらなる研究が必要である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 〓育燕、朱艶明 他: "淅江長興煤山断面磁性地層学・研究"地球科学-中国地質大学学報. 24. 151-154 (1999)

  • [文献書誌] Zhu,Y.& Liu,Y: "Magnetostratigraphy of Permo-Triassic boundary section at Meishan,Changxing,Zhejiang Province"Proceeding of the International Conference on Pargea and Paleozoic-Mesozoic Transition. 79-84 (1999)

  • [文献書誌] Yin,H.,Wu,S.,et al.: "South China as a Part of Archipelagic Tethys during Pangea Time"Proceeding of the International Conference on Pangea and Paleozoic-Mesozoic Transition. 69-73 (1999)

URL: 

公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi