研究課題
国際学術研究
本研究の目的は、世界の高エネルギー陽子加速器施設のニュートリノビームに関わる現在の技術を視察・調査し、つくばの高エネルギー加速器研究機構の12GeV陽子加速器と神岡の大型水チェレンコフ検出器スーパーカミオカンデとを繋ぐ「ニュートリノビームライン」を早期に実現させ、長基線ニュートリノ振動実験のために安定に運転することにあった。このニュートリノビームラインの実現には解決しなければならない技術的問題点が多くあり、その克服は、「ニュートリノ振動」実験を遂行するためには必須の課題であった。ニュートリノビームに関しては、ブルックヘブン国立研究所や欧州原子核研究所に、ビームライン建設に鍵となる幾つかの構成要素について既に技術的な蓄積がある。これらについては専門的な国際会議等が開かれていないので、現地へ直接赴き、視察し資料を集めることが重要であった。1999年6月19日には、茨城県つくば市の高エネルギー加速器研究機構陽子加速器実験施設から発射された人工ニュートリノは、地下250kmの距離を走り、岐阜県神岡町のスーパーカミオカンデで検出することに初めて成功した。本研究での調査等を踏まえ建設と改良が進められたニュートリノビームラインは、ニュートリノ生成標的上での陽子ビーム強度は5×10^<12>/パルスを実現し、毎年、6ヶ月の長期にわたる実験に於ても、変動が小さい安定なビーム供給と効率良いニュートリノの生成とを可能にした。
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