研究概要 |
ロシア極東シホテアリン地域の,主として蛍石,錫,鉛/亜鉛,朋素などの鉱床およびこれらと成因的に密接な関係を有すると推定される酸性深成岩類の地質調査を実施した.現地では,鉱床の産状の調査,鉱床の母岩や鉱石の産状と性状,鉱石鉱物の性質などに着目して調査を行ない,室内実験用の試料を採取した.また,酸性火成岩類については主として岩石の産状(変成堆積岩類との時間的空間的関係)および帯磁率などの物理的性質について調査し,化学組成分析や放射年代測定用の試料を採取した. 調査に先だって,これまでの研究から明らかになった一連の成果を当該学会(The Society of Resourse Geology)において公表した.そのタイトルは以下のようである. Sato,K.et al.,(1998) "Granitolds and mineralization in Shikhote-Alin,Far East Russia."Sato,K.et al.(1998)"Mid-Cretaceous episodic magmatism and tin mineralization in the Khingan-Okhotsk volcano-plutonic belts,Far East Russia."Nedachi,M.et al.(1998)"Halogen geochemistry of granitoids from the southern Shikhote-Alin,Far East Russia."Enjoji,M.et al.,(1998)"Gold mineralization of the Mnogovershinnoe deposit from the northern Shikhote-Alin,Far East Russia." シホテアリン地域の花崗岩質岩石は,その生成時期および生成場所に応じて著しく異なった性質を有する.斑状結晶の産状と性質,enclaveの産状と性質,花崗岩の生成年代,構成鉱物の特性,帯磁率などについて新しい知見が得られた.造岩鉱物中の含有元素,とくにハロゲン元素の分布特性から,岩系別また鉱床別に一定の規則性がある可能性が考察される.また,花崗岩のとくに石英や長石中の結晶化包有物や流体包有物の産状および性状から,鉱床母岩の時間的空間的性質や鉱化溶液の物理化学的性質などを明らかにしつつある.
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