研究課題
基盤研究(B)
ロシア極東のシホテアリン地域には、白亜紀-古第三紀の珪長質火成岩類が広く分布し、これに伴って様々な金属鉱化作用が見られる。中でも、この地域北端のムノゴベルシンノエ鉱床は、熱水性の含金鉱脈鉱床であり、鉱床学的にも資源的にも重要である。この鉱床の生成にかかる石英中の流体包有物の産状と性状を調査した。その結果、次のような事実が明らかになった。1)気液3相からなる流体包有物が金鉱床を生成した鉱化流体の性質を反映しているものと推定される。2)鏡下での性質から、流体包有物は、気相二酸化炭素、液相二酸化炭素、塩水溶液からなると推定される。3)室温近傍で加熱すると、気相が収縮し、液相二酸化炭素に均質化する。その温度は28.3~30.1℃であった。4)冷却すると塩水溶液は凍結し、加熱により氷点下で溶融する。その温度は-3.4~-2.6℃であった。すなわち、包有流体のNaCl相当塩濃度は約5~4wt%に相当する。5)冷却に際して、二酸化炭素の水和物が生成し、氷点下で塩水溶液が溶融した後も、氷点上まで残存する。この水和物は最終的に+7.7~+9.2℃で消失した。6)高温度にまで加熱すると、均質化する前に多くの包有流体が漏出し、また包有物自体が爆散することが多い。7)いくつかの流体包有物では、265~320℃で、気相が液相に均質化した。8)娘鉱物として固相を含むような高塩濃度流体包有物は認められない。流体包有物のこのような性質は、本邦の北上型金鉱床産石英中の流体包有物の性質とよく類似しており、両鉱床の生成環境の類似性を暗示し、一部が日本のかつて大陸と地続きであり、その後漂移したとする考え方を支持する。
すべて 2003 1999 1996
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件)
Resource Geology 53
ページ: 193,211
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地質ニュース 501
ページ: 37,44
CHISHITSU NEWS 501
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