研究課題/領域番号 |
10041149
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
系統・分類
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
増田 隆一 北海道大学, 理学部, 助手 (80192748)
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研究分担者 |
大泰司 紀之 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (50001532)
大舘 智志 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (60292041)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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キーワード | ネコ科 / ヤマネコ / 中国 / タリム盆地 / ジュンガル盆地 / 進化 / 乾燥地帯 / 新彊 |
研究概要 |
本研究では多様な自然環境を有する中国新彊ウイグル自治区においてヤマネコ類およびそれらが捕食する小型哺乳類の生息・分布調査を行った。3回にわたるフィールド調査を行い、新彊のほぼ全域を踏査した。タリム盆地(新彊南部)では、シルクロード周辺域(天山南路、西域南道)およびタクラマカン砂漠において、ステップヤマネコが生息する自然環境を調査し、この種がおかれている現状を把握した。特に、シルクロード周辺域ではヤマネコが好んで捕食するヤルカンドノウサギの分布密度が高く、ヤマネコの個体数も多いことが推定された。ジュンガル盆地(新彊北部)では、マヌルネコの糞および足跡を発見した。その生息地において小型哺乳類の捕獲調査を行い、オオスナネズミならびにトビネズミ類など乾燥地帯に適応したげっ歯類を捕獲することができた。さらに、標高2千メートルを超える天山山脈において調査を行い、オオヤマネコやユキヒョウなど大型ネコ科の生息地の自然環境を調査した。また、高山地帯に生息するげっ歯類の捕獲調査を行い、盆地内の砂漠とは異なる哺乳類相を確認した。中国側共同研究者を北海道大学へ招聘し、調査成果の議論を行うとともに、日本側研究者が開発したDNA分析技術を伝授した。日本側研究者は、アジア大陸に生息するネコ科のミトコンドリアDNAの遺伝子増幅法の分析技術を確立し、塩基配列の解読および分子系統進化学的解析を進めた。新彊の生態系においてヤマネコ類と競合する食肉目イタチ科についても遺伝子分析を開始し、分子系統学的成果を挙げた。以上の研究成果は、中央アジアの乾燥気候・高地に生息する哺乳類相の進化学的研究をさらに発展させていく基礎データおよび調査経験となった。
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