研究課題/領域番号 |
10041151
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研究種目 |
国際学術研究
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応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
喜田 宏 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (10109506)
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研究分担者 |
河岡 義裕 ウイスコンシン大学, 獣医学部, 教授
伊藤 壽啓 鳥取大学, 農学部, 助教授 (00176348)
高田 礼人 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助手 (10292062)
岡崎 克則 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (90160663)
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キーワード | シベリア / 香港 / 渡りガモ / ブタ / 糞便 / インフルエンザウイルス / H5N1 |
研究概要 |
1998年8月、シベリアのレナ河流域で採取した399の水禽糞便からインフルエンザウイルス(H13N6)1株を分離した。同年10月、北海道稚内市で採取した239の水禽糞便から2株のウイルス(H6N2およびH9N2)を分離した。 1996年以降にレナ河流域および北海道で採取したカモの糞便から分離されたインフルエンザウイルスのNP遺伝子の系統進化解析を実施した。1996年にシベリアで分離されたH11N9ウイルスの遺伝子は翌1997年に香港で分離された強毒H5N1インフルエンザウイルスのそれらに極めて近縁であった。そこで北海道で分離されたH5亜型ウイルスを香港で分離された強毒H5N1ウイルスと比較したところ、両者のHAの抗原性と遺伝子は近縁であることが判った。北海道に飛来するカモはシベリアに営巣する。したがって、1997年に香港で発生したH5N1インフルエンザ事件の原因ウイルスはシベリアに営巣するカモが保持しているインフルエンザウイルスに起源があることを示唆している。 韓国ソウル大学およびチェジュ大学、中国浙江農科大学ならびに台湾省家畜衛生試験所にインフルエンザウイルス標準抗血清セットを配布し、現地でインフルエンザ疫学調査の技術指導を行った。台湾では9月以降、渡りガモの糞便から130株余のH3、H4およびH7亜型インフルエンザウイルスが分離されている。H5N1インフルエンザ事件以前に採取された香港のブタ血清について抗体検査を実施したところ、H1およびH3亜型のみならずH4およびH5亜型に対する抗体が検出された。この成績はH4およびH5亜型の鳥インフルエンザウイルスが香港のブタに以前から侵入していたことを示唆している。
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