研究分担者 |
中静 透 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (00281105)
東 昭雄 筑波大学, 応用生物化学系, 助教授 (20094170)
鈴木 英治 鹿児島大学, 理学部, 教授 (10128431)
工藤 岳 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助手 (30221930)
柴田 英昭 北海道大学, 農学部・附属演習林, 助手 (70281798)
|
研究概要 |
本年度は,主としてインドネシア・中央カリマンタン州のヒース林と泥炭湿地林での調査観測を中心に行なった。また,おなじボルネオ島上の,マレーシア・サバ州のキナバル山国立公園とブルネイの低地林においても調査を行なった。 1997年度から中央カリマンタンのヒース林にふたつの1haプロットを,泥炭湿地林にひとつのプロットを設置し,森林動態の継続観察,一次生産力の推定,構成樹種の構造特性の解析等をおこなってきた。 中央カリマンタンのヒース林の現存量はふたつのプロットで209,215t/haであり,低地熱帯多雨林の約1/3に相当した。純一次生産速度は12〜13t/ha/yrであり,低地多雨林の約半分であった。アロメトリーの種間比較のためのサンプリング,測定を併せて進めた。幹体積-幹重,樹高-樹冠投影面積,地上部全重量-葉重などの関係において種間差がみられた。 リター供給量を2年間にわたって追跡調査したところ,ヒース林で6.6t/ha/yr,泥炭湿地林で,5.3t/ha/yrだった。リターバッグによる分解速度推定も進め,泥炭湿地林で冠水する雨期に分解速度が遅いが,乾期ではヒース林と変わらないことがあきらかになった。 泥炭湿地林には,呼吸根由来の冠水しない小丘状の微地形が発達する。優占樹種5種について,樹木分布と生残率の微地形依存性を観測した。実生も成熟木もともに小丘上に集中しており,小丘と窪地といった微地形と密接に関係していた。実生の死亡率は乾季よりも雨季,小丘よりも窪地で高かった。微地形は実生の死亡,成長,加入に相当の影響を与えていた。
|