研究分担者 |
工藤 岳 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (30221930)
中静 透 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (00281105)
鈴木 英治 鹿児島大学, 理学部, 教授 (10128431)
大崎 満 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (60168903)
小林 繁男 森林総合研究所, 海外研究協力官(研究職)
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研究概要 |
地球環境の変化を予測する目的で,ボルネオ島の熱帯多雨林はの変化過程の高い精度による追跡観測を進めた.本年度の調査は,ボルネオ島南部中央カリマンタン州のヒース林と泥炭湿地林,およびブルネイ領のタセック・マリンブン保護地における泥炭湿地林と近接する混交フタバガキ林において実施した. 1992年来設定している西カリマンタン州ランダック川中流部のスリンブの混交フタバガキ林の追跡データから,森林のギャップ動態・サイズ分布動態を再現するモデルを提出した.樹木の生長と加入はパッチ内局所密度の関数として表わし,局所密度の効果は,対象個体から半径10メートル以内の,より大きい個体の基底面積を局所密度の指数とした.このシミュレーションモデルによる動的定常状態は,観測された森林構造ときわめてよく一致した.定常状態の森林被度と現存量は,ギャップ形成速度と樹木の最大生長速度の変化にもっとも影響されることが明らかになった. 中央カリマンタン州のヒース林でのふたつの1ヘクタール調査地の解析から,樹種の微細な分布の違いが,微地形(標高と腐植層の厚さ)で説明されることが明らかになった.分布の違いを反映して,樹木の相対生長関係の違いが生じていることも明らかにした.また,このヒース林と,隣接する泥炭湿地林の継続観測の結果から,現存量の蓄積速度はかなり大きな時間的変動を示し,それが気象条件に対応していることがわかった(たとえば1997年のエルニーニョによる乾燥影響による,半年ほどの生長遅滞).
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