研究概要 |
ゾウリムシ(Paramecium caudatum)の失われたシンゲン(遺伝学的種)標準株を再構築し、複雑な進化経路を辿っていることが示唆されている種進化の全容を明らかにするためには、地理的に離れた場所からの多様なシンゲンに属する株が必要である。2年間にわたりアメリカ五大湖周辺及び東海岸・南米のウルグアイ国に出かけ精力的に採集した。 ・採集地点は合計北米大陸189地点、ウルグアイ国63地点である。その他、友人達の協力もあって、ドイツ、中国、フィリッピンからも採集した。そのうち、31地点からゾウリムシが得られ、169株を単離培養株として確立した。 ・P.caudatum 以外の繊毛虫は、P.aurelia,P.bursaria,Frontonia,Euplotes,Stylonichia,Dileptus,Colpes,Lembadion,Halteria,Uronema,Trithigmostomaがあり、Protist Databaseに原生生物148属378種の画像を組み込んだ。 ・今回採集した株・これまで国内外で採集した接合型未知の株の中にシンゲン 1,2,3,12に属する株を得た他、確実には3シンゲン(当面A,B,Dとする)を新たに確立した。 ・最重要な成果は、外形はP.caudatumであるのにRAPDパターンや核のタイプ及び数、収縮胞の数が既知のどの種にも属さない株UC131,151,153,154、Jsh-1-2,Nsh-1-4,Xam-2を得た。これらは新種である可能性が高い。また、相補的な接合型グループを形成する(当面C,Eとする)。 ・2〜3シンゲンにまたがって交配反応する株UC161,162,163を得た。既知シンゲンの標準株の中にも交差反応する株がある。 ・遊泳行動変異株Kum1,UC102を得た。
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