研究概要 |
[分類と分布]:黒龍江省においては,Rhodeus sericeus,R.sinensis,R.ocellatus,Acheilognathusmacropterus,A.chankaensis,A.sp.の2属6種が採集された。R.ocellatusは黒龍江省初記録である。Acheilognathusについては,A.sp.に相当する種は黒龍江省に記録が無い。本種はA.imberbisに類似するが,背鰭,臀鰭が未発達など,異なる特徴をもつ。従来,2n=44型のタナゴ類は中国の東北地方ではmacropterus,chankaensisの2種のみと考えられてきたので、本種の発見は興味深い。福建省においては,R.atremius,R.ocellatus,A.chankaensisの3種が採集された。韓国では,R.sericeus?,R.sinensis,R.ocellatus,R.atremius suigensis,A.macropterus,A.yamatsutae,A.rhombeus,Tanakia signifer,T.lanceolataの3属9種が採集された。今回採集されたR.sericeus?はChae and Yangが1993年に韓国産R.sericeusとして報告したものと同一種らしい。しかし本種にはR.sericeusと異なる特徴が多く,新種である可能性が高まった。[核型]:中国で採集されたAcheilognathus種は,すべて2n=44,Rhodeus4種では,R.atremiusが2n=46,それ以外は2n=48を示した。なお,A.sp.の核型は2n=44であった。2n=46のタナゴは福建省初記録である。韓国で採集されたAcheilognathus3種はすべて2n=44,Tanakia2種は2n=48,Rhodeusでは,R.atremius suigensisが2n=46,R.sinensisおよびR.ocellatusが2n=48を示し,R.sericeus?の核型は分析中である。分染法による詳細な核型分析についても進行中である。Tanakia signiferの明瞭な核型は今回が初めての報告となる。[遺伝子分析]:Rhodeus atremius suigensisのゲノムDNAから反復配列ファミリーが単離された。主成分を1kbと1.3kb前後にもつ縦列型の反復配列か,または内部にHind IIIを2カ所持つ散在型の反復配列であると考えられた。染色体上の位置情報を得るためのプローブとして利用できる可能性がある。
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