研究課題/領域番号 |
10041159
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研究種目 |
国際学術研究
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応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
加藤 雅啓 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (20093221)
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研究分担者 |
秋山 弘之 姫路工業大学, 自然環境科学研究所, 助教授 (70211696)
岡田 博 大阪市立大学, 理学部, 教授 (40089892)
今市 涼子 日本女子大学, 理学部, 教授 (60112752)
角野 康郎 神戸大学, 理学部, 助教授 (90127358)
長谷部 光泰 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助教授 (40237996)
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キーワード | カワゴケソウ科 / 形態進化 / 分子系統 / 渓流沿い植物 / 根 / 植物地理 |
研究概要 |
1.カワゴケソウ科は他の類例をみないほど極限的な形態的・生態的進化を遂げた被子植物である。この科の系統、形態進化などを明らかにする目的で、スリランカ、インド、タイで現地調査と資料収集を行った。スリランカでは4属6種、インド南部のケララ州では5属8種、タイでは3属3種の合計65サンプルを分子系統解析用資料として収集した。加えて、27点の種サンプルを発生学的観察資料として、65乾燥・液浸資料を証拠標本として収集した。今後、これらの資料を用いて、種属間の系統関係を推定し、形態学的研究によって器官の相同性を明らかにして、この科の形態進化を探る予定である。 2.スリランカと南インドで共通に分布する種をいくつか採集したが、同一種なのか、あるいは形態的に似た独立種なのかを、分子系統樹をもとに明らかにして、植物地理的関係を調べる予定である。 3.Malaccotristicha malayanaの形態学的観察を行った。匍匐する扁平な軸は先端に非対称な根冠を持ち、側軸が維管束付近から内生的に発生することから、この軸は根と相同であると考えられる。短枝と解釈される「ラムリ」は根の表皮近くの皮層から内生的に発生し、「ラムリ」に伴って痕跡的な付着体も内生的に発生することを確かめた。この形態は科の中で原子的とされるIndotristicharamosissimaなどの形態と基本的には同じであり、それらよりも特殊化が進んでいると判断された。カワゴケソウはMalaccotristicha malayanaよりもさらに特殊化が進んでおり、カワゴロモの葉状体は根冠を欠いているが、特異な分裂組織をもっていることが予備的観察によって確かめられている。
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