研究課題/領域番号 |
10041164
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研究種目 |
基盤研究(A)
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応募区分 | 一般 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
石田 英実 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60027480)
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研究分担者 |
中務 真人 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00227828)
仲谷 英夫 香川大学, 教育学部, 助教授 (20180424)
沢田 順弘 島根大学, 総合理工学部, 教授 (80196328)
国松 豊 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (80243111)
中野 良彦 大阪大学, 人間科学部, 助手 (50217808)
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キーワード | アフリカ大陸 / 類人猿の進化 / 人類の起源 / 中新世中・後期 / 化石発掘 / 北ケニア / ナチョラピテクス / サンブルピテクス |
研究概要 |
人類学から見たアフリカ大陸は、類人猿の進化、人類の起源と進化の舞台としてことに重要視されるところであるが、それに対応する中新世中期・後期からの化石資料が極めて乏しい。そのため、この時代は「人類化石の大ギャップ期」と呼ばれている。そこで、私共の海外調査では、重要であるが未知であるこの時代に焦点を合わせ、発掘によるアプローチを長く続けている。11年度も計画通りに北ケニアのナチョラ地域およびサンブル・ヒルズにおいて発掘調査を実施した。その成果は以下のとおりである。 ナチョラ地域ではBG-K化石産地を集中的に行った。その結果、ナチョラピテクス(ケニアピテクス類の1属)について、5個体に属する化石を含む合計60点余の化石を発見した。そのうち一組は顎と四肢長骨からなる保存状態が良い骨格である。上の化石産地以外からもナチョラピテクス化石を発見した。主なものは、BG-D化石産地からの完全に近い口蓋骨と、BG-Z化石産地からの同一個体の完全な上・下顎骨である。これら一連の発見から、ナチョラピテクスの食性と体のプロポーションについての知見が飛躍的に増強されることになった。 サンブル・ヒルズでの調査はナカポレテラド川水系とモロ・アベニョウ近辺を中心に行い、新たに多くの化石産地を発見し、多数の有蹄類や食肉目の化石を収集した。これらの資料から、古生物から見たサンブルピテクス(私共がこれまでに発見、命名した大型の中新世中期ヒト上科)の生息環境の分析が一段と進展することになる。 上述の地域における調査をさらに長々期にわたり続行することは、ナチョラピテクスの形態、行動、社会、環境など、さらにサンブルピテクスの形態、行動、環境などの分析を進展させ、人類誕生へのプロセスについて、その解明に大きな貢献を果たすものと期待される。
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