研究概要 |
1.材料の採集 1998年7月マレーシアサバ州キナバル山周辺の自然林の調査、同年9月、FRIM内フタバガキ林、セメンゴ国立公園、ミリ自然林の調査と採集を行った。1999年1月にタイバンコク郊外、ドイインタノン、チェンライの自然林で、3月にはマレーシアのFRIM、パソ、クバ、セメンゴで、8月にはタイナラチワスとチェンマイの自然林で材料(フタバガキの葉、菌根菌、きのこ、ショウジョウバエ)の採集を行った。2000年1月にはスリランカの自然林で同様の採集をおこなった。 2.フタバガキ科植物と菌類、菌類(きのこ)とショウジョウバエの共生の特異性フタバガキの系統樹作成に関しては葉緑体遺伝子matK、trnL-trnF遺伝子間領域,trnLのイントロン、および核遺伝子gapC、菌類の分類に関してはrRNA遺伝子の一部を使用した。これらの遺伝子を用いてかなり精度の高い分子系統樹を作成した。共生菌類は非常に多くの属(Boletus,Scleroderma,Russula,Thelephora,Amanitaなど)からなることが分かった。ある地域では特異性はみられるが、他の地域からの異なるフタバガキでは多くの菌類と同時に共生しているというデータも得られている。共生の特異性に関する結論は今後の解析を必要とする。熱帯のきのこには非常に多くのショウジョウバエが共生している。タイとマレーシアで採集したショウジョウバエにはDrosophila,Mycodrosophila,Paramycodrosophila,Zygothrica,Hirtodrosophila,Scaptodrosophila,Leucophenga等が含まれる。現在これらショウジョウバエ種の同定を急いでいる。来年度中に同定を終了出来ると考えている。
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