研究課題/領域番号 |
10041185
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生態
|
研究機関 | 福山大学 |
研究代表者 |
福長 将仁 福山大学, 薬学部, 教授 (20132483)
|
研究分担者 |
中尾 稔 旭川医科大学, 医学部, 助手 (70155670)
HUDSON Bernard j. Department of Medical Microbiology, Royal North Shore Hospital, Sydney, Austraria Directorand Professor (University of Sydney)
|
研究期間 (年度) |
1998 – 1999
|
キーワード | マダニ / ライム病 / ボレリア / 適応放散 / ベクター |
研究概要 |
オーストラリアに生息するボレリア媒介マダニ種の特定と分布状況、寄生ボレリアの分離培養と同定を目的として本研究を行った。 シドニー市近郊でマダニ刺咬を受け遊走性紅斑を有する患者皮膚生検から分離したボレリアを免疫学的、分子生物学的に検討してBorrelia gariniiと同定した。ボレリア抗体陽性者が多く分布するシドニー市北部地域のマダニを採集した。すべてのマダニ個体をボレリア分離培養と直接PCRによるDNA増幅に供したがボレリア検出はできなかった。マダニ腸管内容物の顕微鏡観察で約5%にスピロヘータ様微生物が観察でき、通常の培地では増殖できない種類のスピロヘータであると考えられる。 我々はマダニrRNA遺伝子のスペーサー領域塩基配列比較して定量的にIxodes holocyclusの系統分類をおこない、この種はフサマダニと近縁で、ライム病ボレリアや関連ボレリアを媒介するIxodes ricinus species種とは遺伝的に隔たりが大きいことを明らかにした。これはI. holocyclusがライム病ボレリアとは異なる種のスピロヘータを保有することを支持する。 マダニ種とボレリア種の対応についてB. gariniiは、Ixodes属マダニ種のなかで比較的近縁なI. ricinus speciesにのみ寄生でき、遺伝的に遠いマダニ種にはそれぞれ分化した別のボレリア種が寄生対応する。ITS2領域の配列による系統樹はI. holocyclusやフサマダニがIxodes属のなかでもっとも遠い位置にあることを示したが、フサマダニがB. gariniiを保有することが報告されているので、この結果とは矛盾するのでさらなる調査検討が必要である。
|