サルモネラ属菌のエンテロトキシン産生遺伝子(stn)配列を利用した、サルモネラ特異的PCR法を確立した。実験的にミンチ肉と糞便サンプルにサルモネラを混入させて調べた結果、増菌培養法を併用することで1グラム当たり1個のサルモネラが存在すれば検出可能であった。この方法は医学のみならず食品検査を含む公衆衛生分野で有効であると考える。サルモネラ属菌が他の下痢原性細菌で報告されているようなエンテロトキシンを産生しているという報告はピーターソン等のグループ以外にはない。しかしながら、サルモネラ属菌を感染させたウサギ腸管の病理像では、明らかにエンテロトキシンによると思われる所見が見られる。ピーターソン等が言うエンテロトキシンを本当にサルモネラ属菌が産生しているか否かを明らかにするために、免疫学的検出系の確立を目指している。即ち、サルモネラ・エンテロトキシン遺伝子より推定されるアミノ酸配列上のエピトープから合成した2種類のペプチドに対する家兎抗血清を作成し、affinity chromatographyにより抗ペプチド特異IgGを調整した。この標品を用いてサルモネラ・エンテロトキシンと考えられる蛋白の検出系を構築中である。
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