研究課題
基盤研究(A)
高安動脈炎は病因の難病で、アジアならびに中南米に多い肉芽腫性の血管炎である。また血管炎を生じる部位や好発する性も地域により異なり発症には遺伝要因の存在が強く示唆されている。そこで本研究では国際的な比較研究により高安動脈炎の病因を解析する。高安動脈炎は大型の血管炎の一つで若年の女子に好発する肉芽腫性の病変により血管の狭窄や拡張をきたし、大動脈炎閉鎖不全や頚部血管狭窄、大動脈縮窄、上肢動脈不触知、冠動脈不全など引き起こす難治性の疾患である。その病因は不明であるが、一卵性双生児例や発症に地域差があることより遺伝要因の存在が示されている。この遺伝要因を多国間で検討することは未知の本症の病因を理解する上で重要なアプローチと考えられる。本研究では特に本症との強い相関が示されている免疫制御遺伝子HLA(組織適合性抗原)の解析、また本邦ならびに共同研究各国の家族発症例遺伝子のリンケージ解析による未知の責任遺伝子に迫ることが期待される。これらの解析は本症のみならず、病因の解析が依然困難な他の血管炎の理解にも大変貢献すると考えられる。高安動脈炎はアジアと中南米に多いため、本研究では韓国、タイ、インド、イスラエル、トルコ、中南米からメキシコとコロンビア、加えて米国の各研究所の常勤の本症専門家から成る組織を行った。1998年10月に米国アトランタにおいて第9回高安動脈炎国際会議を開催し、日本ついで米国にて本症の病因解析を進める。特に1)高安動脈炎患者HLA遺伝子のDNAタイピング、2)家族発症例ゲノムDNAの収集、3)RFLPならびにVNTRを用いたリンケージ解析、4)高安動脈炎炎症時血清や血漿の収集、5)炎症時血清中の接着因子の解析、6)炎症血管に発現する接着因子、浸潤するリンパ球ならびにヒートショック蛋白の同定、7)血管炎モデル動物の作製ならびに解析、さらに8)非常にわかりにくい炎症を同定するための画像診断についての検討などを中心として、本症の病態の解明にあたった。
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