研究分担者 |
片倉 賢 群馬大学, 医学部, 助教授 (10130155)
三森 龍之 熊本大学, 医学部, 助教授 (00117384)
野中 薫雄 琉球大学, 医学部, 教授 (10039571)
丸野 元美 琉球大学, 医学部, 助手 (00264507)
上里 博 琉球大学, 医学部, 講師 (60160157)
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研究概要 |
新大陸とくにエクアドル国におけるリーシュマニア症の伝播疫学ならびに病型についての情報を得るため、種々の専門分野からなる研究組織により、同国各地の流行地で患者の治療を含めた調査研究を実施した。このため、本研究期間内においてはエクアドル国のリーシュマニア症流行が疑われるほぼ全ての地域で、分子疫学、寄生虫学、媒介昆虫学、臨床医学等々の多方面からの解析を加えた。その結果、エクアドル国では大平洋側、アマゾン側、アンデス高地に皮膚リーシュマニア症の流行地が広く分布しており、Leishmania属の病原虫は患者、サシチョウバエ、保虫動物等からLeishmania(Leishmania)amazonensis,L.(L.)mexicana,L.(L.)major-like,L.(Viannia)braziliensis,L.(V.)guyanensis,L.(V.)panamensis,L.(V.)equatorensisの7種が分離された。また、これまでにLeishmania原虫が分離されたサシチョウバエはLutzomyia ayacuchensis,Lutzomnyia gomezi,Lutzomyia trapidoi,Lutzomyia hartmanniの4種であり、これらが同国リーシュマニア症の媒介者と決定された。さらに、本研究年度においては患者の診断や治療についても種々の検討を加えたところ、病変部からの綿棒による検体採取がPCR診断に有用であることが判明した。一方、分離された原虫についてもPCR分析を試み、各流行地でみられる病型との関係についても解析した。診断面では種々の分子生物学的手法による簡便かつフィールドに応用可能な方法を開発する目的で、PCRを実施し従来使用されている塗沫標本や培養法その他の診断法と比較した。臨床疫学的な研究としては皮膚リーシュマニア症の特性を明らかにするとともに、他の皮膚疾患との鑑別診断に必要な一般皮膚科疾患についても比較解析した。
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