研究課題/領域番号 |
10041200
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研究機関 | 佐賀医科大学 |
研究代表者 |
茂木 幹義 佐賀医科大学, 医学部, 助教授 (00039538)
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研究分担者 |
矢部 辰男 神奈川県衛生研究所, 科長
倉橋 弘 国立感染症研究所, 室長 (00100074)
上村 清 富山医科薬科大学, 医学部, 助教授 (00115164)
砂原 俊彦 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (50264156)
佐々木 均 酪農学園大学, 教授 (60105252)
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キーワード | 水田開発 / 森林伐採 / 移民村 / 衛生昆虫 / 蚊 / ハエ / ネズミ / インドネシア |
研究概要 |
前年に続き、東インドネシアの水田開発地2地域で現地調査をした。中央スラウェシの調査地では、水田開発のために森林が伐採された後の変化を記録することが目的である。西チモールの調査地では、ダム建設を含む広域潅漑施設建設に伴う変化を記録することが目的である。調査対象は、マラリア、フィラリア症、デング熱媒介蚊を含む蚊類、人や家畜から吸血するアブ類やハエ類、人畜共通感染症の宿主であるネズミ類、および住民の住居環境、蚊や蚊媒介病についての知識、防蚊対策であった。 1996年に森林が伐採された中央スラウェシの調査地では、計画通りには潅漑施設建設が進まず、伐採地の一部は農民により天水田化されたが、多くの部分は荒れ地として放置されていた。水管理できない天水田や荒れ地は、大量の蚊の発生源をつくりだす危険性を持つ。西チモールの調査地では、ダム建設地、ダム完成後に潅漑が予定されている天水田地域や畑地と付随した村、対照として潅漑施設が整備された二期作水田地域と付随した村で、蚊の発生状況が調べられた。非潅漑地域では乾期の蚊発生は強く抑制され、蚊の発生源は、ハマダラカやイエカが発生する川床の水たまりと、ヤブカが発生する人家内外の水ため容器に、ほぼ限定されていた。アブや吸血性ハエの発生は、潅漑の有無とは、関係していなかった。人家内に生息するクマネズミが、イネの成熟期には水田で盛んに繁殖していた。水田開発は屋外でのクマネズミの繁殖を促し、人家へのネズミの供給源をつくりだす。アンケート調査の結果、潅漑水田のある村では、潅漑水田のない村に比べて、蚊や蚊媒介病についての知識水準が高く、防蚊対策がよく実施されていた。ダムと潅漑水路が完成し潅漑水田が造成される2002年までの継続観察が必要である。
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