研究課題/領域番号 |
10041202
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研究種目 |
国際学術研究
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応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
神原 廣二 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (20029789)
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研究分担者 |
RIVERA Pilar College of Public Health, U. P. Manila, Associate
橘 裕司 東海大学, 医学部, 助教授 (10147168)
柳 哲雄 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (10174541)
上村 春樹 長崎大学, 熱帯医学研究所, 講師 (60184975)
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キーワード | 赤痢アメーバ / Entamoeba histolytica / Entamoeba dispar / PCR診断 / アメーバ疫学調査 / フィリピン |
研究概要 |
これまでひとつの種として認められてきた赤痢アメーバは病原性のあるものとないものの二種よりなることが明らかとなってきた。両者は形態学的には区別できないが、生化学的、免疫学的、遺伝学的方法により識別できる。私達はPCRを利用した遺伝学的方法がホルマリン液保存シストに応用できることを示した。二つの種が地域により異なる分布を示すことが分かってきたので、私達はフィリピン、ルソン島の気候的に異なる二つの地域を選定して、一般住民の糞便検査を行い、アメーバシスト陽性者についてPCR法を適用した。結果は病原株、非病原株ともに北部の冷涼地に効率に認められること、病原株は全体の10%を占め、強い家族集積性を示すことを明らかにした。このことは両種の伝播様式に違いのあることを示唆するもので、私達はこの原因は感染源であるシストの性質の差にあるのではないかと考えた。シストステージは試験管内培養できないため、再びフィリピンにおいて両種シストを採集して、比較研究することとした。このためには採取した糞便を迅速に処理する必要があり、共同研究者の所属するフィリピン大学公衆衛生学部に近いマニラ市内スラム地域を調査地とした。フィリピン全土からの人が集まっていると考えたことによる。1998年10月に住民の同意と協力を得るための集会を持ち、その後糞便採集、検査活動に入った。1999年1月にも2回目の調査を行い、総計1,030の糞便を得た。腸内寄生虫の感染率は驚くほど高く、赤痢アメーバについても10%の陽性者を得た。現在PCRによる分析が進んでいる。
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