研究課題/領域番号 |
10041206
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
竹内 勤 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00051847)
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研究分担者 |
堀尾 政博 産業医科大学, 医学部, 講師 (90131937)
福田 恵一 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (20199227)
三浦 左千夫 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30051858)
関 健介 杏林大学, 保健学部, 助手 (40286430)
濱野 真二郎 九州大学, 医学部, 助手 (70294915)
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キーワード | Trypanosoma cruzi / 先天性シャーガス病 / xenodiagnosis / Strout法 / 虫血症 / 臍帯血 / T.cruzi-DNA / PCR法 |
研究概要 |
今年度は、抗Trypanosoma cruzi(T.cruzi)IgG陽性妊婦の虫血症の状況と新生児への感染の有無との関連を対比検討した。その結果:抗体陽性妊婦31/136名(22.79%)、これら妊婦の出産時に臍帯血よりT.cruziが検出された者1/31名(3.23%)、生後10日目の検診でT.cruzi虫体をxenodiagnosisにて検出した者1/30名(3.3%)で、先天性シャーガス病児2/31(6.45%)となり、臨床経過を現在検討中である。出産当初strout法陰性とされた新生児から生後10日目検診にて陽性になった者が1名出たが、これは出産当初のstrout法の見落としと考えられる。当初母親の臍帯血について行ったPCR法ではT.cruzi-DNA陽性者が多く居る事が判明したが、他のstrout法、xenodiagnosisの結果とかならずしも一致するものではなかった。PCR法のみ陽性の新生児では臨床的に無症状な為先天性シャーガス病とは診断されず現段階で本法は先天性シャーガス病の臨床診断を確定するものではなかった。これらの結果に関しては再感染の危険が少ない都市部居住者に限り、PCR法及びxenodiagnosisを繰り返し行い当初の見落としを確認している。一方、治療を行った患者ではPCR法でT.cruzi-DNAの陰転化が認められ末梢血液中よりT.cruzi虫体が存在しなくなった事が示唆されるので本法は予後診断としては有用と考える。また、本疾患発生要因の一つとして重要な慢性感染妊婦がT.cruziのキャリヤーとなり得る可能性を検討するのにもPCR法が有用と考え今後も妊娠について妊娠経過中のPCR法、xenodiagnosisi、及び抗体の消長についての検討を続けると同時に抗体陽性母より出産した乳幼児へのfollow-upも行う。
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