研究分担者 |
糸川 秀治 東京薬科大学, 薬学部, 名誉教授 (60057304)
佐橋 紀男 東邦大学, 薬学部, 教授 (70057595)
百瀬 弥寿徳 東邦大学, 薬学部, 教授 (50020813)
BASUALDO Isabel アスンシオン大学, 薬学部, 教授
小林 淳一 北海道大学, 薬学部, 教授 (90221241)
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研究概要 |
平成11年度は冬期(平成11年9月)に調査を行った。アスンシオン市内ではランダムな薬草の聞き取り調査を行い,約700人からの回答を得た。内容はよく利用する薬草を複数と利用目的,その服用方法である。寄せられた回答を整理し,利用頻度の高い薬草を割り出した。その結果,利用頻度の高い薬草のなかには,市内のメルカードの薬草市場でも希少のものかあるいは扱われていないものもあった。これは,回答者のなかには独自の調達ルートを持っていることの証拠であり,パラグアイ国民がグアラニーインディオ由来の薬草を熟知していることを示す結果であった。利用頻度の高い薬草の上位にランクされる利用目的は清涼,消化であった。また,その服用方法は主にお茶あるいは煎じたものを内服するかあるいはこの国独特の「テレレ」として服用していることが明らかとなった。次いで,初年度に引続き薬草の自生調査を行った。調査はパラグアイ国南部のPARAGUARI県La Colmena,Acahay周辺,ITAPUA県Pirapo周辺およびCAAGUAZU県の国道7号線周辺で行い,延べ50種に及ぶ薬草の自生地を確認し,標本を採集した。パラグアイでの調査後,アルゼンチンの植物薬理研究センターCEFYBOおよびラプラタ大学にて南米の植物および薬草ならびに民族資料の調査を行った。CEFYBOでは1900年初頭のグアラニーインディオの生活を伝える文献を入手した。文献にはインディオの利用する薬草176点の記載があり,またその利用目的が現在よりもより具体的であり,聞き取り調査の利用目的の上位を占めた清涼,消化の記載はほとんどなかった。このことは現在利用されている薬草の利用目的について何らかの変遷があったことが推察でき,今後の解釈において貴重なデータとなった。
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