研究分担者 |
阿部 賢治 国立感染症研究所, 感染病理部, 主任研究官 (60130415)
山本 直彦 名古屋大学, 医学部, 助教授 (40220488)
塩田 達雄 大阪大学, 微研免疫・ウイルス感染制御分野, 教授 (00187329)
滝口 雅文 熊本大学, 医学部エイズ学研究センター, 教授 (00183450)
保富 康宏 三重大学, 医学部, 助教授 (90281724)
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研究概要 |
(1)アジアにおけるHIV流行の分子疫学研究 われわれは,アジア地域におけるHIV流行の形成のメカニズムとこの地域に流布するウイルス株の構造的特徴を解明するために,流行の新たなフォーカスとなっているベトナム北部およびミャンマー中部に焦点をあてて分子疫学的解析を進めた。その結果,(1)ベトナム北部における薬物乱用者を中心とするHIV流行が隣接する中国南部広西省チワン族自治区に分布するHIV-1サブタイプEに極めて近い構造的特徴をもっていて,同一起源のウイルスと推定できることを明らかにした。(2)ミャンマー中部には,これまでわれわれが報告していたタイに由来すると考えられる2種のHIV-1サブタイプ(サブタイプEとサブタイプB')に加え,サブタイプCが約20%の割合で分布していること。さらにこの地域のハイリスク集団における世界にも例を見ない高い感染率を背景として,HIV-1サブタイプB',C,E間の多様な組換えウイルスが発生していることを明らかにした。これらの知見は,この地域を標的とするワクチン開発・治験戦略に重要な示唆を与えるものと考えれる。また(3)タイをフィールドとして,HIV感染・エイズ発症抵抗性に関与する遺伝子多型の分子疫学的解析を行い,CCR5 927T変異の頻度が非感染パートナーで統計的に有意に高いことを明らかにし,この変異がタイ人集団において,HIV-1の感染抵抗性を支配する有力な遺伝子多型の一つであることを確証した。 (2)アジアにおける各種肝炎ウイルスの分子疫学的解析 ウイルスのゲノタイプを決定することは,病原性・感染経路・治療指針等を探る上で重要である。われわれはアジアをフィールドとする研究の結果,(1)G型肝炎ウイルス(HGV)の分子疫学調査から、従来のゲノタイプ分類には属さない新たなHGV株をミャンマー人とベトナム人患者血清から分離し、ゲノタイプ4型と命名した。HGV4型は、ミャンマーとベトナムにおいて高率に感染者に存在することを明らかにした。またタイプ特異的なプライマーをデザインし、PCR法による簡便なHGVゲノタイピング法を確立した。(2)我々はHBVゲノムタイプ(A〜F型)を迅速・簡便しかも特異的に決定できる方法を開発し,アジアにおける調査研究に応用した。その結果,アジアではC型が主要なゲノタイプであったが,ベトナム(ホーチミン市)においてはB型が多いのが注目された。ゲノタイプと肝疾患や治療との関連性・変異株出現頻度との関係などの問題が今後の検討課題として残った。
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