研究課題/領域番号 |
10042001
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研究種目 |
国際学術研究
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
林 泰秀 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (30238133)
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研究分担者 |
LOOK Thomas St. Jude小児研究病院, 教授
SHIMADA Hiro ロサンゼルス小児病院, 教授
小林 美由紀 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (60205391)
別所 文雄 東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (40010285)
柳澤 正義 東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (90049031)
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キーワード | 神経芽腫 / P16遺伝子 / P15遺伝子 / DCC遺伝子 / P19遺伝子 / P73遺伝子 / 癌抑制遺伝子 / 疫学 |
研究概要 |
今年度は9p21に座位しp16遺伝子と読み枠のずれたpl9^<ARF>と11p36のp73遺伝子の検討を行った。神経芽腫では、本邦の細胞株17株中2株にp19の発現の減弱とpl6の発現の消失と減弱を、本邦の新鮮腫瘍31例中5例に発現の異常を認めた。うちp16とp19がともに発現が消失していたものは2例、pl9^<ARF>のみ消失は2例、pl6のみ消失は1例であった。p73遺伝子の検討では、p73αとp73βはほとんどの正常臓器で発現がみられることから、p73αかp73βのいずれかが発現しないことを発現異常とすると、NB細胞株22株中3株で発現異常が認められた。新鮮腫瘍30例中14例で発現異常が認められ、本邦でのp73遺伝子の発現異常の頻度は進展例の方が早期例より、また臨床発症例の方がマスクリーニングで発見された例よりも有意に高かった。これらの発現パターンの解析より73遺伝子はNBの進展に関与することが示唆された。米国でも同様の検討を行っており、現在まとめているところであり、今後マレーシアと韓国でも行う予定である。FISH法で検索した全ての細胞株で、p73遺伝子の片方のアルリの欠失が認められ、LOHは33例中5例に認められた。(RT)-PCR-SSCPによる変異の検討では、細胞株と新鮮腫瘍のいずれにおいても変異はみられず、サザン法でもHDと再構成は認められなかった。ユーイング肉腫の細胞株7株中4株に発現の異常がみられ、p16とp19がともに発現消失または減弱は3株、p19のみ減弱は1株であった。新鮮腫瘍3例では1例がp16とp19がともに発現が消失していた。米国とは相互の進んだ遺伝子解析法を交流することにより、お互いの解析技術の向上と、小児悪性腫瘍の地域差と共通性の認識を深めることができた。マレーシアと韓国はまだ解析技術が十分ではないため、交流しながら日本の技術を導入しつつある。
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