研究課題/領域番号 |
10042003
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
真弓 忠範 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (00098485)
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研究分担者 |
YAMADA Yoshihiko National Institute of Health, Molecular Biology, Section Chief
川崎 紘一 神戸学院大学, 薬学部, 教授 (40068242)
中川 晋作 大阪大学, 薬学研究科, 助教授 (70207728)
野水 基義 北海道大学, 地球環境科学研究所, 助教授 (00311522)
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キーワード | ラミニン / YIGSR / ハイブリッド化 / スチレンマレイン酸共重合体 / ポリビニルピロリドン / 細胞接着 |
研究概要 |
我々はこれまで、YIGSRなどのラミニン関連細胞接着ペプチドの検索と、その抗転移効果を評価してきた。その結果、ポリエチレングリコール(PEG)によるYIGSRのハイブリッド化により、その血中滞留性は僅か2倍程度にしか向上し得ないものの、転移抑制効果は10倍にも高め得ることを報告している。本研究では、ハイブリッド化により細胞接着ペプチドのin vivo転移抑制効果をさらに高めるために、アルブミンとの結合能を有するスチレンマレイン酸共重合体(SMA)によるYIGSRのハイブリッド化を試みた。その結果、SMA-YIGSRの血中滞留性はnative YIGSRの10倍、PEG化YIGSRの4倍にも延長された。しかし、結合したアルブミンによる立体障害のためにレセプター結合阻害による比活性低下が生じてしまう結果、そのin vivo抗転移効果はnative YIGSRの10倍とPEG化YISGSRと同等であった。そこで、立体障害の影響が少なく且つ血中滞留性の向上に適した、修飾高分子の検索を行った。その結果、PEGと同様に安全性に優れたポリビニルピロリドン(PVP)が、PEGとは異なりラジカル共重合により容易に2次的付加価値を導入し得ること、またPVPによるペプチドのハイブリッド化が、比活性を保持したうえで、PEGやSMAよりも血中滞留性の改善効果に優れ得ることなどが示唆された。一方、ラミニンGドメイン中の新たな活性中心ドメインの検索において、YBRL及びIRVTLNを見いだした。現在、ラミニンのさらなる新規細胞接着ペプチドの調査と標的指向性などの2次的付加価値を有する修飾高分子の検索、および高比活性を保持しつつ、細胞接着ペプチドの血中滞留性を向上させ得るハイブリッド化技術(PVPによるハイブリッド化)の構築を行っている。
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