研究課題
国際学術研究
(1) 米国側のMargo1isらは、慢性骨髄白血病(CML,bcr/ablキメラ遺伝子をもち、これが白血病マーカーとなる)患者で、WTlassayとbcr/ablキメラ遺伝子の発現量の定量(bcr/ablassay)を同時に行い、両assayの白血病細胞の定量性を比較した。CMLの骨髄移植後の微小残存白血病細胞(MRD)を両assayで、モニターしたところ、両assayの結果は一致した。再発例では、bcr/ablキメラ遺伝子の発現が再検出され、同時に、WTl遺伝子の発現も再検出された。長期寛解維持例では、ともに検出されなかった。これらのことから、WTlassayは白血病細胞のモニタリングに有用であることが米国においても確証された。(2) 独国側のベルリン自由大学のE.ThielとのWTlassayに関する共同研究については、ドイツ側の、WTl遺伝子の発現量を測定する系は半定量であったため(我々の系は定量系)我々のデータと、比較することに多少の困難があったが、共同研究の結果、日独とも全く同じ測定系を用いて、WTlassayをすることができるようになってきた。今後は、GermanResearch Foundationの協力も得て 共同研究をすすめ、日本とヨーロッパで、統一されたWTlassayを確立し、日本と、ヨーロッパでの白血病の治療成績の向上を目指したい。(3) 日本側の我々は、厚生省白血病化学療法班(大野班)と厚生省骨髄移植班(小寺班)及び、WTl研究会で、多施設で多数例の白血病患者でWTlassayを行ったところ、ほとんどすべての白血病で、WTl値は、治療前は異常高値であり、治療が有効な場合、正常値にまで低下した。これらの結果から、治療中の白血病の微小残存細胞の検出には、WTlassayが有用であることが確証された。
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