研究課題/領域番号 |
10042005
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
青笹 克之 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (30115985)
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研究分担者 |
三輪 秀明 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (30294078)
本行 忠志 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (90271569)
冨田 裕彦 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (60263266)
菅野 祐幸 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (40252663)
高桑 徹也 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (40244933)
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キーワード | 鼻腔リンパ腫 / 東アジア / EBウイルス / 癌遺伝子 / 癌抑制遺伝子 / NK細胞 |
研究概要 |
鼻腔T細胞リンパ腫の腫瘍細胞の起源はここまで種々、議論されてきたが、現在ではNK細胞性と考えられている。鼻腔NK細胞リンパ腫(NNKL)はEBV関連疾患であることが知られているが、NNKLについての本研究の成果は以下の通りである。 (1)地域に関係なくNNKLの90〜100%の症例の腫瘍細胞の核内にEBVゲノムを認めた。EBV亜型は東アジア地区症例は大部分がA型であったが、スイスからの報告では検討した6例中3例がB型であり、地理的な相違を示している。 (2)HLA-A2のうち、A0201の頻度が健常人に比して有意に低いことが判明した。このことはA0201拘束性のEBV感染細胞へのCTL反応が生体内で作動していることにより、A0201の個体はNNKLを発症しにくいことを示唆している。 (3)癌抑制遺伝子p53の変異の頻度は北京、成都(中国)、沖縄は各57.1%、60.0%、50.0%と高いが、大阪では22%と低かった。一方、p53蛋白の過剰発現は大阪では89%と高いのに反し、北京、成都、沖縄は24〜43%と比較的低かった(p<0.01)。以上の結果はNNKLの発症原因に地域的な相違のある可能性を示している。 (4)癌遺伝子の一つで、造血細胞、色素細胞、生殖細胞の分化、増殖に関与しているc-kitの変異を、中国、日本のNNKL症例について調べたところ、中国例で71%、本邦例では22%の症例において変異を認めた。
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