ボリビアの女性がんの環境・宿主要因に関する民族疫学的研究

1998 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10042011
• 研究種目: 国際学術研究
• 研究機関: 鹿児島大学
• 研究代表者: 園田 俊郎 鹿児島大学, 医学部, 教授 (40036463)
• 研究分担者: CAMACHO Mirt ボリビア国立衛生研究所, 所長 ; GOMEZ Luis H ボリビア医学会, 名誉教授 ; 屋敷 伸治 鹿児島大学, 医学部, 助手 (40182315) ; 嶽崎 俊郎 愛知県がんセンター研究所, 研究員 (50227013) ; 藤吉 利信 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (50173480)
• キーワード: HPV / 子宮頸がん / 民族疫学 / ボリビア / HLA

研究概要

【研究目的】ボリビアの子宮頸がん発生率は先進国の5-10倍高いが、HPV感染の状況や環境・宿主要因は明らかでない。本研究では、ボリビアの子宮頸がん患者の民族背景、生活環境、性生活状況、HPV感染の有無などの民族疫学的調査を行い、その環境・宿主要因を明らかにする。
【対象と方法】1)症例・対象研究:ボリビアの協力病院に受診した子宮頸がんとコントロール(各々100例)を対象とする。子宮頚部スメア細胞はパパニコロ染色による細胞診とHPV-DNA検出を行う。血液検体はリンパ球と血漿に分離調整し、HLAタイピングとHPV抗体検査に用いる。2)子宮頸がん組織標本収集:ボリビアの協力病院に保存してある病理組織標本の切片を収集し、DNA抽出・HPV-DNA検出を行う。
【進捗状況と展望】(1)検体収集体制:本年度はラパス、エルアルト、チュピサ、タリハ、スクレの5地区での協力体制を確立した。血液検体21例、子宮頚部スメア細胞検体21例、子宮頸がん組織標本5例を採取し、子宮頚部スメア細胞検体の細胞診結果はIII以上の悪性所見が6例、II以下が15例であった。次年度ではコチャバンバ、トリニダド、サンタクルスでの協力体制を確立しボリビア全体での検体収集体制を完成させ、子宮頸がん症例とコントロールの情報収集を完了する。(2)HPV-DNA険出:悪性型偶V-DNA陽性率は、子宮頚部スメア細胞検体ではPPPIII以上の6例中6例(100%)、PPPII以下の15例中1例(7%)であった。子宮頸がん組織標本では5例中2例(40%)であった。子宮頚部スメア細胞検体での細胞診結果と悪性型HPV-DNA検出結果が良く相関していた。(3)HLAタイピング:HLAクラスIおよびIIアリルタイピングは、それぞれ、ARMS法およびPCR-SSO法で解析中であり、鹿児島地区での子宮頸がん症例と比較する予定である。

研究成果

• [文献書誌] Blagitko N,OhUigin C,et al.: "Polymorphism of the HLA-DRB1 locus in Colombian,Ecuadorian and Chilean Amerinds." Human Immunol.54. 74-81 (1997)
• [文献書誌] Sonoda S,Manns A,et al.: "HLA and HTLV:12th International Histocompatibility Workshop study." In HLA:Genetic Diversity of HLA. Functional and Medical Implication(Charron D,ed.)EDK Paris France 1997. 429-436 (1997)
• [文献書誌] Kitze B,Usuku K,et al.: "Human CD4^+ T lymphocytes recognize a high ly conserved epitope of humanlymphotropic virus type 1 (HTLV-I)enve gp 21 restricted by HLA DRB1 ^*0101." Clin.Exp.Immunol.111. 278-285 (1998)
• [文献書誌] Mikino M,Yashiki S,et al.: "An expression of anaplastic large cell lymphoma-associated antigens oon HTLV-I-infected CD4^+T cells." Ann.Hematol.76. 31-35 (1998)
• [文献書誌] Manns A,Hanchard B,et al.: "Human Jeukocyte antigen class II alleles associated with human T-cell lymphotropic virus type I infection and adult T-cell leukemia/lymphoma in a black population." J.Natl Cancer Inst.90. 617-622 (1998)
• [文献書誌] Lou H,Li C-H,Kuwayama M,et al.: "HLA calss I and cassII of the Nivkhi,an indigenous population carrying HTLV-I in Sakhalin,Far Eastern Russia." Tissue Antigens.52. 444-451 (1998)