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1999 年度 実績報告書

タイ国北部女性肺癌の発がん促進要因の同定とその生化学的検討

研究課題

研究課題/領域番号 10042014
研究機関埼玉県立がんセンター

研究代表者

中地 敬  埼玉県立がんセンター, 研究所, 首席研究官 (00142117)

研究分担者 土屋 永寿  埼玉県立がんセンター, 研究所, 部長 (00072314)
藤木 博太  埼玉県立がんセンター, 研究所, 所長 (60124426)
清水 弘之  岐阜大学, 医学部, 教授 (90073139)
MAITREE Suttajit  チェンマイ大学, 医学部, 教授
高橋 隆  愛知県がんセンター, 研究所, 部長 (50231395)
キーワードタイ国北部 / 女性肺癌
研究概要

本研究は、女性肺癌高率地域と低率地域の女性住民の比較調査の結果に基づき、発がん促進因子の生化学的検討を行うとともに、患者対照研究及び肺癌組織の病理学的・分子生物学的検討を行っている。住民調査及び肺癌組織の病理学的検討は終了し、以下の結果を得た。
1.喫煙率はむしろ低率地域の方が高く、喫煙だけでは女性肺癌の多発は説明できない。
2.高率地域の特徴は慢性気管支炎などの呼吸器疾患であり、内因性発がんプロモーターであるTNF-αの血清濃度は呼吸器疾患の既往及び喫煙歴を持つ者で高値を示した。また、尿の変異原性は高率地域で高く、特に呼吸器疾患既往者で際立って高かった。
3.高率地域の居住家屋から子嚢菌(Microsporum Canis)が高頻度に検出され、この菌の膜成分が高率地域の対象者の1/3から検出され、体内の侵入が示された。
4.タイ国北部女性肺癌は腺癌の頻度が最も高かったが、本邦の約1/3であり、扁平上皮癌はわずか1%であった。また、腺癌の亜型及び分化度により検討すると、チェンマイの女性肺腺癌は吸入性発癌物質と関係するタイプが最も多く見られた。
これらの結果に基づき、Microsporum Canisからコードファクター様物質を抽出し、発がんプロモーター活性があるかを内因性の発がんプロモーターであるTNF-αの誘導によって検討した。マウス腹腔にコードファクター様物質を注入して血清中TNF-αの濃度はコントロールの2倍であり、Microsporum Canisの粗画分はTNF-α誘導物質を含んでいることが示された。現在、コードファクター様物質の同定及び肺でのTNF-αmRNAの発現を検討している。
上記の研究と並行して進めてきた患者対照研究は、肺癌患者238名(男138、女100)及び対照患者476名の調査を完了した。今後、調査データの解析を行う。また、肺癌DNAも必要な検体数が収集できたので、p53の遺伝子変異などの検討を開始する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] Nakachi, K., Arai, K., Sone, Y., Shimizu, S., Takahashi, T., Suttajit, M. et al.: "Risk factors for lung cancer among nothern Thai woman : Epidemiological, nutritional, serological, and bacteriological surveys of residents in high- and low-incidence areas"Jpn. J. Cancer Res.. 90. 1187-1195 (1999)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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