研究課題/領域番号 |
10044002
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
磯部 彰 東北大学, 東北アジア研究センター, 教授 (90143841)
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研究分担者 |
中里見 敬 九州大学, 言語文化部, 助教授 (30250963)
磯部 祐子 高岡短期大学, 産業情報科, 助教授 (00161696)
小川 陽一 大東文化大学, 文学部, 教授 (30007356)
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キーワード | 姚秦三蔵西天取清解論 / 悟空居士 / 人相見 / 流浪芸人 / 嘉慶・道光年間 / 内府演劇 / 徐枕亜 / 雪鴻涙史 |
研究概要 |
磯部彰は『西遊記』の物語が、文字の介在を必要としない寺院壁画や年画によっても広がったことを中国現地調査等で発見する一方、明中期において悟空居士と称した羅組が五家蔵の『姚秦三蔵西天取清解論』宝巻を取りまく状況、及び宝巻の版本に検討を加え、遊民がその主体的維持者ではなく、むしろ在地性の強い農民や地主・宦官たち部六冊に西遊記物語を採用して以来、無為教の教義に含まれて宝巻の題材となり、それが流布した一面を明らかにした。また、幾種かの宝巻や道経を発見収集する中、その一点である『姚秦三蔵西天取清解論』宝巻に検討を加え、反乱軍や白蓮教徒を構成、もしくは付随する遊民がその主体的維持者ではなく、むしろ在地性の強い農民や地主・宦官たちが教派宝巻の護持者であったことを解析した。小川陽一は、明清社会にいた人相見などの流浪芸人が裏社会では非遊民的行動、つまり一種のギルドを構成して、明清小説のモデルとなったことを追跡した。磯部祐子は、清の嘉慶・道光年間に戯班と天理教徒、そして遊民等が内府の宦官と結託して反乱を起こした結果、内府演劇が縮小されるに至った経過を演劇史と社会史双方から明らかにした。中里見敬は、近代中国の都市型ジャーナリズム作家である徐枕亜を取り上げ、『玉梨魂』が古典白話小説と近代小説へ行こうとする過渡的ながら注目すべき作品であることを、<語り手>を中心に検討し、同じに『雪鴻涙史』の文体に流民が多数混入した近代都市における住民と新小説とのあり方の新たな方向性を見だした。
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