在外アイヌ関係資料にもとづくアイヌ文化再構築

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10044006
• 研究種目: 基盤研究(A)
• 研究機関: 名古屋大学
• 研究代表者: 小谷 凱宣 名古屋大学, 人間情報学研究科, 教授 (40111091)
• 研究分担者: 新美 倫子 名古屋大学, 人間情報学研究科, 助手 (10262065) ; 佐々木 利和 東京国立博物館, 資料部, 室長 (80132702) ; 荻原 眞子 千葉大学, 文学部, 教授 (00129074)
• キーワード: アイヌ文化 / アイヌ研究 / 物質文化研究 / 博物館資料 / 北太平洋地域 / 先住民文化

研究概要

本共同研究は、平成3年度より継続している一連の海外アイヌ関係資料調査・研究の最終段階である。ドイツ側研究者が1980年代前半に西欧アイヌ関係資料調査を開始し、日本側研究者が1990年以降、北米、ロシア国内のアイヌ関係資料の調査を継続してきた。共同研究の目的は、1)アイヌ物質文化に関する総合的データベースの構築準備、2)主要収集者と主要コレクション内容の解明、3)アイヌ文化の地域差・時代差の研究の推進、4)欧・米・日の対アイヌ観の解明、5)国内アイヌ関係資料の再整理のための基礎の構築などである。本年度に実施した事項は、下の通りである。
1、スミソニアンのアメリカ合衆国国立自然史博物館(ワシントン市)において、アイヌ特別展覧会「アイヌ;一北方民族の精神」が4月末から1月2日までに開催された。この特別展は北米アイヌ資料調査結果にもとづいて、共同研究者のDr.William W.Fitzhugh(極北研究所長)が中心になって準備したもので、国際学術研究による研究成果の地元社会への有益な還元であった。特別展用のカタログに本研究の関係者の多くが研究成果を執筆した。昨春の訪米の折りに、小渕恵三首相は、この特別展を見学された。
2、日独両国の研究者は、共同調査として、未調査であったライプチヒ民族学博物館所蔵のアイヌ関係資料約730点の現地調査を実施した。また、ライプチヒ市滞在中に、ドレスデン民族学博物館所蔵のアイヌ関係資料の調査も行った。これにより、西欧の主要なアイヌ資料調査はほぼ終了した。
3、ライプチヒ民族学博物館の調査期間中に、平成12年度にボン大学で開催を予定している研究集会(ワークショップ)の具体的計画について打ち合わせた。

研究成果

• [文献書誌] Sasaki,Toshikazu: "Ainu-e:A historical review"Fitzhugh&Dubreiul(eds.):Ainu.. (下記参照). 79-85 (1999)
• [文献書誌] Kreiner,Josef: "The European Image of the Ainu as Rerflected in Museum Collections."Fitzhugh&Dubreiul(eds.):Ainu. (下記参照). 125-131 (1999)
• [文献書誌] Ogihara,Shinko: "The St. Petersburg Ainu Collections."Fitzhugh&Dubreiul(eds.):Ainu. (下記参照). 132-135 (1999)
• [文献書誌] Ogihara,Shinko: "Mythology and Animal Tales."Fitzhugh&Dubreifl(eds.):Ainu. (下記参照). 274-277 (1999)
• [文献書誌] Kotani,Yoshinobu: "Ainu Collections in North America: Documentation Projects and Frederick Starr Collections."Fitzhugh&Dubreiul(eds.):Ainu. (下記参照). 136-147 (1999)
• [文献書誌] Olschleger,Hans Dieter: "Technology, Settlement and Hunting Rituals."Fitzhugh&Dubreiul(eds.):Ainu. (下記参照). 208-221 (1999)
• [文献書誌] Fitzhugh,William W. and Chisato O.Dubreuil(eds.): "Ainu:Spirit of a Northern People"Washington: National Museum of Natural History, Smithsonian Institution & Seattle: University of Washington Press.. 415 (1999)