研究課題/領域番号 |
10044009
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研究種目 |
国際学術研究
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応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中道 正之 大阪大学, 人間科学部, 助教授 (60183886)
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研究分担者 |
LINDBURG Don 野生動物繁殖センター, 行動部門, 部門長
吉田 浩子 上智大学, 生命科学研究所, 助手 (90266081)
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キーワード | ゴリラ / パンダ / 繁殖行動 / 子育て行動 / 社会行動 |
研究概要 |
絶滅危惧種の大型噛乳類のゴリラとパンダの繁殖に関する行動資料の収集を行った。 ゴリラの場合。 アメリカの2施設(オハイオ州コロンバス動物園とカリフォルニア州サンジエゴ・ワイルドアニマルパーク)で、集団成員の社会関係の把握を行うとともに、生後1歳から4歳までの子どもに対する母の世話・養育行動が分析された。ゴリラの集団はおとなのオス1頭と2から5頭のおとなのメス(概ね10歳以上)とその子供たちから形成されている。観察が行われた2施設では、おとなのメスがそれぞれおとなオスとの関わりを維持しているが、他方、血縁のないおとなのメス同士では関わりが少ないという野生集団に類似した傾向が確認できた。おとなになる前後には、オスもメスも生まれた集団を離脱するのが一般的であるが、飼育場面では不可能である。観察を行った2施設にはこのような年齢層のメスがいたが、母や近縁の個体との密な関わりを維持していた。生後半年間の子どもは、ほとんどの時間を母と過ごすが、その後は年長の子どもとの関わりが増え、身体能力の発達とともに、活発な遊びが増加し、遊び友達と一緒に母以外の個体への関わりを増加させていた。つまり、年長の子どもとの関わりを通して、こどもは繁殖にとって基本的な社会行動を学習する機会を得ていることが示唆された。 パンダの場合。 上野動物園のオスとメスの2頭、および白浜サファリパークのオス1頭の非繁殖期の行動が観察された。飼育環境内を探索する行動が加速されて、定型的な行動パターンを繰り返すことが確認された。さらに、これらの行動の生起と大勢の観光客、観光客が発するきょう声、大声などが関係していることが行動分析から示唆された。
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