研究課題/領域番号 |
10044021
|
研究種目 |
国際学術研究
|
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
黒河 功 北海道大学, 農学部, 教授 (90125310)
|
研究分担者 |
韓 元欽 中国農業科学院, 農業経済研究所, 教授
朱 希剛 中国農業科学院, 農業経済研究所, 所長
小林 一 鳥取大学, 農学部, 教授 (40225529)
志賀 永一 北海道大学, 農学部, 助教授 (50235511)
太田原 高昭 北海道大学, 農学部, 教授 (70002061)
|
キーワード | 農村合作組織 / 産業化 / 合作化 / 株式方式 / 契約方式 / 社員制度 / 農村振興 |
研究概要 |
本年度はほほ計画した日程・内容どおりに、中国山東省・広東省において合作組織の実態調査を行った。山東省では諸城市および菜陽市、広東省では順徳市および新興県において、それぞれ3ないし5個の農水産物加工公司・貿易公司、関係機関、およびそれぞれの合作組織に参加する農家について、聞き取り調査を行った結果、以下の事柄等が明らかとなった。 (1) 中国農村部において農村合作化が始まった背景には、中国の社会・経済的体制が人民公社制から1978年から生産責任制に移行し農業も家族請負制になったが、同時に市場経済化が進展し、農産物価格への関心が高まり、農家も単なる農業組収入から農業所得への関心が高まってきた。しかしながら、経営規模の零細性、労働力不足、商品としての農産物の質の劣悪性、商品量の不足などが顕在化し、産業化・組織化の必要性が認識され始めたことが指摘することができる。 そのような認識の高まりとともに、全国で最初に農村合作化に取り組んだのが、山東省および広東省である。 (2) 農村合作化の形態は多様であるが、整理すると、 (1)企業主導型(「龍頭企業」と呼ばれるインテグレート)、(2)農民資本による合作組織で従来の産銷型、(3)卸売市場と農家の連携型、(4)その他の型と、分類することができる。 (3) 農村合作組織が成肋しているとみられる条件として、加工部門を積極的に取り入れて、農畜産物を商品として仕立て上げていること、したがって高い加工技術を取り入れていること、販売先を確保していること、とくに日本などの海外への販売戦略・ルートをもっていることなどがあげられる。 (4) 合作組織に参加している農家にとって、直接組織と連携をすることから、手数料等中間搾取がなくなり、従来よりも確実に手取りが増加する結果となっている。 (5) このような中国の沿海地域における合作組織による農村活性化のあり方が、内陸地域においても適用可能であるか、合作のいかなる形態が適するのが、そこにおける条件は何かについて、今後検討する必要がある。
|