研究課題/領域番号 |
10044026
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
文化人類学(含民族学・民俗学)
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
竹内 潔 富山大学, 人文学部, 助教授 (40212021)
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研究分担者 |
篠原 徹 国立歴史民俗博物館, 社会伝承研究部門, 教授 (80068915)
黒田 末壽 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (80153419)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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キーワード | アフリカ / 熱帯森林 / 文化保全 / 開発 / 自然保護活動 / 狩猟採集民 |
研究概要 |
アフリカ中央部の熱帯森林帯の地域社会を継続的に調査し、以下の知見を得た。 1.中央アフリカ共和国及びコンゴ共和国 政治経済が不安定で、商業経済の浸透が緩慢であったこの両国の熱帯森林帯では、近年の政情の悪化や商業伐採の急激な拡大によって、換金作物耕作を目的とした多様な農耕民集団の移住と混住(中央アフリカ)、現金獲得のための都市部への人口流出と農耕民村落の過疎化(コンゴ)が進行し、農耕民民族集団の社会的凝集力が弱化し民族間関係も混乱している。狩猟採集民アカは、生業と儀礼信仰の拠り所であった森林環境や近隣農耕民との社会経済的紐帯を失って、零細農耕民や臨時労働者層に転化しつつあり、民族的アイデンティティを喪失しつつある。また、公園維持を至上目的とする自然保護組織は、欧米の自然保護世論に配慮せざるをえない伐採会社との間に協力関係を結び、政府に働きかけて厳しい狩猟規制を施行している。公園や伐採会社への地域住民雇用も少ない。有用資源の希少性と生物学的希少性という外部の価値によって開発と保護が進められている現状では、地域住民の生活文化や利害は十分に顧慮されておらず、住民の不満は小さくない。 2.ガボン共和国及びカメルーン共和国 政治経済状況が比較的に安定しているこの両国では、農耕民は混住状況を民族集団間関係を再構築調整することによって安定化させており、早くから定住化している狩猟採集民ボンゴ、バカは自律的に農耕を営み、森林精霊儀礼を盛んに催行して集団紐帯を強化している。自然公園も比較的に地域社会に利害還元しており、住民との間に厳しい軋礫は生じていない。 3.課題 地域住民の文化保全と主体的な「発展」の方途を探るためには、外部からの圧力に対してどのように「民族」的アイデンティティや集団間関係が再構成されるのか、精査しなければならない。また、狩猟採集民の社会的周辺化を把握することも今後の課題である。
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