研究概要 |
本研究は,日本的プロジェクト実施方式におけるマネジメント上の利害得失を明らかにすることを目的としており,昨年度に引き続き,欧米型システムとの比較を通して検討を行ってきた。本年度の研究は,建設プロジェクトの調査分析とテーマ別検討に分かれているが,すでに研究成果のまとまった部分については対外発表も行っている。建設プロジェクトの調査分析では,共通の調査フォーマットを作成し,わが国および調査対象国(本年度は韓国と台湾)ごとに調査を行った。わが国の調査からは建設プロジェクトでのリスク分析と評価ならびにリスク回避戦略に関するデータを収集することができ,これを一つの理論に結びつけてとりまとめることができた。海外との比較については,現在も分析を続けているところである。テーマ別検討では,(1)政策・事業化フィージビリティスタディ,(2)プロジェクトファイナンス,(3)プロジェクト組織の編成と調整,(4)プロジェクトマネジメント,(5)不確実性/リスクのマネジメント,(6)生産システム,(7)情報システム,(8)企業戦略に分け,分析,検討を行ってきた。このうち(3)では専門工事業界の特質について,(5)ではFTAを用いたリスク分析およびリスク回避戦略について,(6)では工事費概算およびバリューマネジメントについて,それぞれ対外発表を行う程度まで研究が進捗しており,(7)についてもプロジェクト業務の管理とそれを支援するマネジメント情報システムの開発に関する成果が現在学術誌において審査中である。
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