研究概要 |
本研究は,日本的プロジェクト実施方式におけるマネジメント上の利害得失を明らかにすることを目的としており,欧米型システムとの比較を通して検討を行ってきた。本年度は研究の最終年度であり,得られた知見を集約することを念頭に置きながら研究を展開した。その構成は建設プロジェクトの調査分析とテーマ別検討に分かれているが,すでに研究成果のまとまった部分については対外発表も行っている。建設プロジェクトの調査分析では,共通の調査フォーマットを作成し,わが国および調査対象国(本年度は英国,フランス,台湾,韓国,タイ,マレーシア,シンガポール)ごとに調査を行った。特に海外調査からは建設産業の規模,法規制,契約システムに関する多くのデータを収集することができ,あわせて当該国の学界・実業界の学識経験者から有益な知識の提供を受けた。テーマ別検討では,(1)政策・事業化フィージビリティスタディ,(2)プロジェクトファイナンス,(3)プロジェクト組織の編成と調整,(4)プロジェクトマネジメント,(5)不確実性/リスクのマネジメント,(6)生産システム,(7)情報システム,(8)企業戦略に分け,分析,検討を行ってきた。これらについて,それぞれ対外発表を行う程度まで研究が完成されている。3カ年にわたる研究によって,欧米諸国との比較から日本的プロジェクト実施方式の特性を多面的に考察するとした当初の研究目的を満足し,東アジア諸国における今後の展開を構想するなど,極めて大きな成果が得られたと考える。
|