研究課題/領域番号 |
10044029
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
橋本 介三 大阪大学, 大学院・国際公共政策研究科, 教授 (00033176)
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研究分担者 |
小林 敏男 大阪大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (20205470)
松繁 寿和 大阪大学, 大学院・国際公共政策研究科, 助教授 (50219424)
林 敏彦 大阪大学, 大学院・国際公共政策研究科, 教授 (50047487)
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キーワード | 大連 / 技術開発区 / 部品購入率 / 現地調達率 / 現地化 / 起業 / 内部昇進 / 環黄海経済圏 |
研究概要 |
1)大連技術開発区のアンケート調査に基づいて、日系企業を中心に部品購入率を入れた生産関数を推計した。中国国営企業は、統合の解体によって部品購入率を上げれば生産性が上がるとされているが、日系企業は規模の経済性の下にあって、部品購入率に最適点がある。また、長期安定的な取引関係を現地で構築しようとしているので、中国の企業改革に貢献できる余地が大きい。 2)現地調達率の分析では、海外販売率の高い企業は現地調達率にプラスに働くが、中国国内市場をねらう企業はマイナスに作用する。これは中国市場では知的所有権に十分な保護が与えられていないためで、将来的には技術移転にマイナスに作用するおそれがある。 3)日系企業では人の現地化が遅れているという批判が当たらないことが実証された。意思決定権限の効率のよい現地化は、「企業規模」「業種」「本社との関係」で規定されている。 4)中小企業に対する調査では、起業過程を通じた技術移転が検討されたが、高学歴の人は早くから独立し、かつ外資系での就職経験がその後の業績に効果があることが分かった。 5)ヒアリング調査から、日本企業はサプライヤーを企業グループとして統括し、品質、コスト管理を徹底させているのに対して、中国企業は消極的で、ペナルティ手段を多用している。その結果、日本企業の品質管理技法の導入が不可避的。 6)中国では労働の流動性が高いとされているが、大連では、内部昇進に移る傾向がある。 7)大連では、日本企業は歴史が浅いにも関わらず好業績をあげる企業は多いが、これは現地におけるハード・ソフトのインフラの充実によるところが大きい。 以上のような事実発見に基づいて、11月に大連で専門家会議を開き、今後の環黄海経済圏の発展や今後の交流のあり方に対して、積極的な討議が行われた。これらの研究結果を最終報告書として、現在、取りまとめ中である。
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