研究課題
国際学術研究
本研究は、国連売買条約の意味(知識)構造を、国際取引において重要な位置を占める米国・ドイツおよび日本の同法の専門家と法律人工知能研究者が共同して解明することを目的とする。本年度は、まず基礎研究として、研究者の個別招聘と派遣により、米国やヨーロッパにおける国際売買法の適用状況の調査をした。また知識ベースシステムの法学への応用状況を調査した。その後、ホノルドが提示した諸設例を参考にして、同法の主要論点をカバーし国際取引の実務において重要と考えられる典型的諸具体事例(4事例)を、日本、米国およびの研究者(吉野、Flechtner、Schrechtriem)がそれぞれ作成した。それに基づき、インターネットを通じて意見交換と準備がなされ後、日本から吉野・加賀山・曽野が、米国からFlechtnerとAshleyがドイツからSchrechtriemが、米国・フィラデルフィア大学ロースクールに集まり、国連売買条約の成立時にアメリカ代表であって同法の立法者の一人であり国際売買法の最高権威であるHonoldをはじめとする数名の研究協力者の参加を得てワークショップを開催し、それらの設例に対して国連売買条約を適用したらいかなる結論が出されるべきかについて、それぞれの(国の解釈論を踏まえた)見解とその理由を提示し、さらにそれに基づいて議論した。この議論の内容はテープにとられ、公刊準備中である。現在分かった点で、興味深いのは、同法の立法者でもあるSchrectriemと曽野の見解とコモンローの伝統にたつ米国側の法学者達とにそれぞれ共通の傾向が認められ、それは背景知識の共通性によるもの思われる点である。今後、この議論に対する比較法的・知識科学的な詳細な分析が行われる。また3月にはピッツバーグ大学およびフライブル大学において知識ベースシステムと法的知識分析の手法について検討する。
すべて その他
すべて 文献書誌 (8件)