研究課題/領域番号 |
10044044
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
熊谷 健一 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70029560)
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研究分担者 |
マリ M チューリッヒ大学, スイス, 講師
ブリンクマン D チューリッヒ大学, スイス, 教授
ヤクボフスキー A クルチャトフ研究所, ロシア, 主任研究員
ボルサ F アイオワ州立大学, 米国, 教授
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キーワード | 核磁気共鳴 / 酸化物 / 高温超伝導 / 強相関電子系 / 金属-絶縁体転移 / 梯子格子物質 / 量子スピン系 |
研究概要 |
酸化物高温超伝導の発現にはCUO_2の2次元面の存在と適当な濃度のキャリアの注入が必要であることが実験的に示されている。このことは高温超伝導の発現が反強磁性絶縁体にキャリアドープされたCuスピン2次元Heisenberg量子スピンの強い相関効果によるものであることを示唆している。強いスピン相関に起因する異常金属状態の解明のため幾つかの典型物質を取り上げ、スピンの揺らぎに起因する様々な異常金属状態と低次元量子スピン系における基底状態の研究をおこなった。 本研究においては、4楕円鏡面浮遊帯炉をもちいて良質の単結晶Sr_<14-x>A_xCu_<24>O_<41>(A=Ca,La)を作製することに成功した。これにより単結晶試料の核磁気共鳴の測定はもとより、磁場中比熱や帯磁率の異方性の詳細な知見を得ることが出来、多くの成果を得ることが出来た。以下にこれをまとめる。 (1) 単結晶試料においてCuの緩和時間およびNMRシフトの異方性の知見を得て、梯子サイトへホールがドープされることを示し、ギャップの大きさがホールドープで大きく減少することを明らかにした。 (2) 系のホール濃度を減少させたSr_<14-x>La_xCu_<24>O_<41>において磁気秩序が観測された。内部磁場の解析から鎖サイトのCuが鎖内で強磁性、鎖間で反強磁性の磁気構造をとることを結論した。 (3) 梯子層のCu核において磁場誘起超微細磁場が観測された。この誘起磁場は印可磁場の方向によりその大きさが異なる。梯子サイトのCu核の超微細結合定数に比例することから、梯子層のCuに誘起されたstaggered momentによるものと結論出来た。梯子格子系においてスピン位相のコヒーレンスが破れたとき、基底状態として反強磁性磁気秩序が形成されると考えられる。 (4) 圧力下で超伝導が出現するSr_<2.5>Ca_<11.5>Cu_<24>O_<41>においてT=2.3Kにおいて磁気秩序が観測された。NMR/NQR、帯磁率の測定結果から、鎖サイトのCuの反強磁性秩序であると結論出来た。
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