研究課題/領域番号 |
10044049
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
古川 義純 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (20113623)
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研究分担者 |
塚本 勝男 東北大学, 理学研究科, 助手 (60125614)
横山 悦郎 山口大学, 工学部, 助教授 (40212302)
儀我 美一 北海道大学, 理学研究科, 教授 (70144110)
灘 浩樹 工業技術院, 資源環境技術総合研究所, 研究員
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キーワード | 形態不安定 / 氷結晶 / 計算機シュミレーション / 表面融解 / 結晶成長 / 界面カイネティクス |
研究概要 |
古川は、氷結晶の一方向成長実験を行い、界面のパターン発展と界面近傍での不純物の濃度場のその場観察を行った。界面近傍での不純物濃度分布のその場観察が困難であったが、高精度の干渉計を使用することで濃度場の観察が可能になった。これにより、界面での形態不安定の駆動力となっている組成的過冷却の存在を初めて実証した。この測定により、本来線形定常理論であるMullins-Sekerka界面不安定理論が実測による界面臨界濃度を考慮することで、このような系にも適用できることが示された。この実験の結果は、本研究の米国側研究分担者であるSekerka教授、Gurtin教授らとの討論を通じて解析が行われた。 横山は、Sekerka教授と共同して、このような氷結晶の円盤成長のモデルを構築することに成功し、ベーサル面の成長機構の違いが重要な役割を果たすことが示された。塚本は、結晶が成長する際に成長速度に振動が生じることを見出し、横山、Sekerka教授らとともに解析を行った。 灘は、分子動力学法による氷結晶表面の計算機シミュレーションを実施した。氷結晶の表面は、融点近傍の温度領域では薄い擬似液体層で覆われていたほうがエネルギー的に有利である。実験的には、このような擬似液体層の存在が証明されているが、その微細構造については不明な点が多い。分子動力学法では、表面融解の生じる初期状態から融点近傍の状況まで再現することができた。このような計算機シミュレーションにより、表面融解のカイネティクスについて分子レベルで議論することが初めて可能になった。 儀我は、Taylor教授、及びWarren博士を招聘し、ファセット面の存在する結晶のパターン発展についての新しい数理解析モデルに関して討論を行った。これは、ファセット面と曲面の共存するパターンの特徴を示す雪結晶や氷結晶のパターン発展モデルに適用することができると考えられる。
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