研究概要 |
1/r^2型の長距離相互作用を持つスピン系の波動関数はJastrow型と呼ばれるものになるが,ここで斥力的相関を表わすパラメータは,1次元リング上の古典クーロン気体の温度に相当する。クーロン気体の相転移とスピン系のギャップ生成の関連について,Shastry教授が来日して,東京と仙台で詳しい議論を行なった。このクーロン気体の高温と低温状態にはdua1ityと呼ばれる関係があり,これを用いると相転移温度が厳密に求められる事が分かった。これは新しい可解モデルの発見につながる可能性がある。 一方,格子モデルと連続体モデルとの関連では,後者で選られている動力学を含む詳細な知見を格子モデルに適用する可能性を追求した。1次元連続体上の可解モデルであるSutherland modelにおいて,その斥力パラメータを無限大にすると,リング上の粒子は結晶化する。この場合,格子振動と粒子の内部自由度の励起に着目すると,これらの励起は格子上の可解モデルであるHaldane-Shastry modelや超対称t-J modelのスペクトルを与えることが示せる。この関係を用いて,格子モデルの動力学が厳密に求められる可能性が開ける。本年度はこの問題について,ユタ大学に出張して詳しい議論を行なった。その他,不純物のある系に対する共形場理論の応用や,各種モデル間の相互関連についても共同研究を行なった。
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