研究課題/領域番号 |
10044056
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
田中 通義 東北大学, 科学計測研究所, 教授 (90004291)
|
研究分担者 |
GOODMAN Pete メルボルン大学, 物理学科, 上級研究員
齋藤 晃 東北大学, 科学計測研究所, 助手 (50292280)
津田 健治 東北大学, 科学計測研究所, 助手 (00241274)
寺内 正己 東北大学, 科学計測研究所, 助教授 (30192652)
|
キーワード | 空間群決定法 / 収束電子回折 / コヒーレント収束電子回折図形 |
研究概要 |
1) 研究分担者津田は平成10年12月にオーストラリアのメルボルン大学を訪問し、P.Goodmanらのグループと、判別困難な空間群の対称性を中心として新しい空間群決定法についての討論を行った。また平成11年3月にはオーストラリアCSIROのC.J.Rossouw氏を東北大学科学計測研究所に招聘し、コヒーレント収束電子回折図形のシミュレーション法などについての討論を行った。また、これらに加えて種々の議論をインターネットを通じて行った。これらは今回の新しい空間群決定法を開発する上できわめて有益なものであった。 2) 空間群の組、(I23とI2_113)、(I222とI2_12_12_1)について、対称要素および結晶構造因子の位相関係等についての理論的解析を行った。これらの組は、まったく同じ運動学的消滅則を与え、かつ動力学的消滅を示す反射が存在しないため、通常の収束電子回折法ではこれまで判別不能であった。今回、空間群決定にコヒーレント収束電子回折法を適用する試みを新たに行った。コヒーレント収束電子回折法とは、コヒーレンスの高い電界放出型電子銃を用いて隣り合う回折波同士を重ねて干渉させ、反射の位相情報を直接読み取る方法である。 コヒーレント収束電子回折強度のシミュレーションプログラムを今回新たに開発し、上記の空間群に属する構造モデルを用いて種々の条件におけるコヒーレント収束電子回折図形のシミュレーションを行って判別の可能性について検討した。その結果、コヒーレント収束電子回析法を適用することでこれまで判断困難だったこれらの空間群が明瞭に判別することが可能であることを明らかにし、コヒーレント収束電子回析法を用いた空間群決定法を新たに開発することができた。 3) さらに、(P4_1,P4_3),(P3_1,P3_2)などカイラリテイのみ異なる2つの空間群の判別についてもコヒーレント収束電子回折法を用いて判別の試みを行い、コヒーレント収束電子回折法の有効性を示した。
|